発見
2時間後。3班の帰りがあまりにも遅いため、担任はほかのクラスメイトたちに「3」の通路の調査を命じた。3班以外は全チーム、クリア済みだ。
そして4人、もとい4体は、すぐに発見された。
ある枝道から、異常な悪臭が漂っていたからだ。大小便の臭いと精液のイカ臭さが混じった濃厚な汚臭を頼りに広間へたどり着いた生徒たち。
そこで、異臭の源である4体の石像を見つけたのだ。
「うげっ、気持ちわるっ……。この臭い……小便もウンコも鼻水も、精液も、たぶん本物だぞ。……って、おい、この顔!」
「ま、まさかこの石像……」
「石化したんだ。信じらんねえけど……。コレ、あいつらだわ」
ジョボジョボと音を立てて黄色い水を出し続ける、バンダナを巻いた少年の像。鼻をほじっていて顔が歪んでいたが、その顔は紛れもなく、ラピス・ゴールドウォーターのものだった。
呆けた顔を見れば、何があったかわからないまま石化したことがよくわかる。
野太いウンコを垂れ流し、床の上に糞の山を量産する生尻の美少年。その顔は排泄の快楽に歪み見られたものではないが、帽子をかぶったその少年は、メルド・ミエルダだ。にんまりと笑みを浮かべ、ペニスも丸出しでうず高く大便を積み上げる姿に、多くの生徒が吐き気を催した。
土下座姿の情けない石像。鼻から床まで鼻水の滝を作っているのは、ロッツ・ナーゼン。他の3人と比べると性器を出してない分まだマシだが、情けない泣き顔で土下座し、失禁によって尿溜まりまで作っているその姿は、ナーゼン家の名を汚すのに十分な醜態だ。
そして、ガニ股で大きくペニスを突き出してオナニーにふける姿で石になった哀れな少年、玉水セイシロウ。無口で真面目な禁欲少年の本性が、仲間の痴態をオカズにダンジョンでちんこを扱きまくるような、どうしようもない変態だったということが一目瞭然だ。目は白目を剥き、大きく膨らんだ鼻から鼻水まで垂らしたアホ面。石棒となった肉棒の先端からは、生々しい精液が絶えず吹き上がっている。
「あー……こいつら、揃いも揃って禁忌を犯したな。……信じがたいが」
優秀な3班が全滅していることに恐怖し、しばらく呆然としていた生徒たちだが、教師の言葉で全てを悟った。すると当然、愚かな石像を罵り始める。
「ラピスが鼻くそほじってるぞ!」
「小便しながら鼻ホジとかマジきめぇ」
「こんな小便小僧がモテてんの許せねぇだろ」
「お゛え゛ぇ゛―っ!くさっ、くっさぁ!」
「メルドのウンコ長いしでっけぇ!あと臭ぇ!」
「クラス一の美少年がアヘ顔でウンコの山作ってるぞ!」
「やべーだろこの鼻水。鼻水フォンデュかよ」
「こんな雑魚がいつも威張ってたとか」
「記念に頭踏みつけとこーぜ」
「これがあのセイシロウってマジ?」
「すっげぇアヘ顔」
「すました顔してオナ猿だったのか」
生徒たちの罵声は石像にも届いている。
(見るなぁ!見ないでくれ!こんなカッコ悪い姿見ないで!んひぃ!オシッコ、オシッコ止まんないぃ!だれか、オシッコとめてくれぇーっ!)
ジョボジョボジョボ。
(み、みんなが僕のウンチ見てる!僕のウンチの臭い嗅がれてる!あ、あははっ♡僕の人生終わったぁ♡んおお゛っ♡また出る!ぶっといウンコでる!ぅんごおお゛っ!!)
ブウーッ!ブッ!ブリブリブリッ!
(は、鼻がおかじぐなる!ひいいぃっ!死ぬぅ!このままじゃ、鼻水出しすぎて干からびるぅ!だ、だれか、たしゅけてくださいぃ!何でもします!死にたくないぃーっ!!)
ねとぉーっ。
(お゛ほぉ゛っ♡あひっ♡見られてる♡俺の変態オナニー姿♡見られてる♡んひっ♡ちんぽっ♡ちんぽぉっ♡イッてる♡ずっとイッてりゅうぅ♡ぉ゛ほっ♡んほおぉ゛っ♡チンポチンポぉっ♡)
ビュッ!ビュッ!ビュルルッ!!
クラスでトップクラスの実力者と目され、学園中の期待を集めていた4人が、チュートリアルダンジョンで失敗したあげく生き恥を晒しているのだ。こんなにおもしろい見世物はない。
生徒たちは教師の静止もきかずに罵声を浴びせ、殴り蹴り、さらには像に落書きまでし始める。その後しばらくの間、地下の広間には爆笑が響き渡っていた。
ひととおり笑い物にされた後、石化を解かれた4人は、顔を真っ赤にして泣き出した。
恥辱にまみれた人生初の挫折を重く受けとめ、慢心を反省することだろう。
だが、学園の名に泥を塗るほどの恥を晒したのは事実だ。罰は受けなければならない。
エピローグ
ASの教育は厳しい。ダンジョンでの油断は命の危険に繋がるからだ。
今回も石化トラップではなく毒ガスだったら、4人は死んでいた。
だから、どんな罰を受けても逆らえない。
「くっそぉ。なんでオレがこんなこと」
「ラピスくんはまだいいよ。僕なんて……」
ラピスとメルドは毎日、学校中のトイレ掃除をさせられていた。それも、パンツ一丁で体の前後に大きな看板を取り付けられている。
ラピスの看板には「僕は鼻くそをほじりながら立ちションしました」という文字が、メルドの看板には「僕は野グソをしました」という文字の横に、茶色のペンでうんこマークがでかでかと書かれている。ほかの班のクラスメイト達が面白がって作ったものだ。
「お前が俺の石化を解除してくれればそれで終わったのに。よりにもよって大便小僧なんかになりやがって。うんこはしねーだろ普通」
「は?それをいうなら、ラピスくんが小便小僧にならなかったら、すぐにクリアできてたんだけど?このだらしのないオチンチンが悪いんだよね?」
メルドが天使のような笑顔を浮かべて、パンツ越しにラピスのペニスをつねる。
「い、いでででで!わ、悪かったよ。ほら、さっさと済ませようぜ」
残る2人はさらに悲惨だった。
「お、俺は!恐怖のあまり取り乱し!惨めに命乞いをして!石化して洟垂れ小僧になりました!」
「……俺は!仲間たちの情けない石像に、こっ、興奮して!オナニーをした!ザーメン小僧だ!」
校庭の端に用意された台座の上で、大声で恥を告白する2人。服こそちゃんと着ているが、ポーズは石になった時を再現している。放課後の校庭は人通りが多い。毎日一時間以上、こうして晒されて全校生徒の笑い物になっている。
「こ、この俺が、ナーゼン家の俺がこんな……。兄さんに顔向けできないっ……」
「……泣くな。俺まで泣きたくなる」
耳まで真っ赤に染めて懺悔を繰り返す。
大小便は生理現象だからまだ不可抗力と言えなくもないが、恐怖や性欲に負けた2人は精神力が弱すぎるとみなされ、克服するためにこのような仕打ちをうけているのだ。
意図が分かっているからこそ、半泣きで罰を受け入れた。
「……お前があんなムッツリスケベの変態だとは思わなかった」
土下座で這いつくばるロッツが、隣のセイシロウを見上げ軽蔑の眼差しを向ける。
セイシロウは突き出した股間を握りしめたまま、むっと顔をしかめた。
「お前だって、ナーゼン家の騎士とあろう者が、あんな雑魚ダンジョンで小便漏らして命乞いなんて……」
「こら!喧嘩するな!どっちも情けないわ!ちゃんと謝れ!」
教師から怒声と鞭が飛ぶ。
「んひぃ!すみません!命乞い洟垂れ小僧ですみません!ぶたないで!」
「ひぎぃ!はいぃ!俺はムッツリスケベの変態ホモ野郎でした!ごめんなさい!」
こうして、学年きっての優等生だった彼らは、史上初のチュートリアルダンジョン不合格者となり、学園中の笑い物になった。
だが、敗北を知ったからこそ心身ともに強くなり、互いに恥を晒し合ったことで仲間たちとの絆も深まった……はず。
冒険者として成長した彼らの今後に期待しよう。
がんばれ3班、がんばれA組、がんばれアドベンチャースクール!