文(オリジナル)
プロローグここはよくあるファンタジックな世界。魔王軍と人間が熾烈な戦闘を繰り広げる一方、魔王討伐の一環として注目が集まっているのが、各地に無数に存在する地下迷宮、いわゆる「ダンジョン」だった。単純な罠があるだけの初級ダンジョンから、モンスタ…
第1話 マヌカンピスの戦い
※先に「無様エロ四国史・設定」をお読みください。 マヌカンピス湿原。グラギーノフ魔導帝国と星辰同盟の境にあたるその広大な湿原で、両軍が激突していた。帝国軍が突如として同盟領へ進行を始めたためである。常に軍備を整えていた帝国軍に対し…
無様エロ四国史・設定
※人名、地名、用語等はすべてフィクションであり、実在のものとは一切関係がありません。 アーヘン大陸。魔法や異能が当たり前に存在するこの都合のいい世界で、四つの勢力が大陸を四分して激しい戦いを続けていた。技術が進歩し、軍事力が増大す…
本当はマゾ
「おい、佐川」「えっ、な、なにかな」昼休み、俺が声をかけると、佐川はいつものように小さな体を震わせた。このビクビクした態度には、毎度イライラさせられる。佐川はクラスに一人はいるような、真面目で大人しく影の薄い、勉強しか能のないような優等生だ…
クリスマス・プレゼント
「メリークリスマース!」電灯を消した部屋でクラッカーを鳴らし、ケーキの上の蝋燭の火を吹き消した。卓の隅に置かれたキャンドルの心もとない灯りが、聖夜のムードを演出している。年に一度のクリスマス、俺はパーティーを開いて盛大に楽しんでいた。……1…
わがままな王子様※
むかしむかし、とある国に、わがままな王子様がいました。欲しいものは何でも与えられて育ったために、どんな願いでも望めば叶うと思っていたのです。実際その通りでした。成長するに従って横暴になる王子様に、国民や大臣はもちろん、父親の国王様ですら頭が…
極上の豚肉※
異様な木々が立ち並ぶ樹海の奥地。剣や弓、槍などで武装した数人の男達が、たき火を囲んでたむろしていた。一様に表情は暗い。「やっぱりあの村長の話、ちゃんと聞いとくべきだったなぁ」「今更言っても仕方ないだろう」彼らは皆、ある程度の名の知れた冒険者…
黄金の棺※
※『極上の豚肉』の続編です。 「はん、ここが例の森か」異様な木々が立ち並ぶ薄暗い樹海。多くの冒険者が消息を絶った魔の森に足を踏み入れ、少年は忌々しそうに顔を顰めた。見渡す限りに広がった木々。足元…
マジキチクエストⅠ-1※
古来、大陸に伝わる伝説、十大淫魔。人間の痴態を肴に、人間の体の一部や体液、排泄物などをエネルギーとする10柱の強大な悪魔。人々は長きに渡り、彼らに虐げられ、それでも抗い続けていた。大陸の中心、聖王国の宮廷は、魔王のアジトとなるダンジョンを見…
マジキチクエストⅠー2※
「うくっ……こ……ここは……?」赤茶色の壁と床に囲まれた殺風景な部屋で、少年賢者リアンは目覚めた。ゆっくりと立ち上がり、ローブの裾をポンポンと払う。あたりには、誰もいない……。「ああ、そうだ……。キルファがやられたんだ……」落ち着く暇もなく…
マジキチクエストⅠー3※
「ねえ、キルファ」「ん?なんだよ?」「僕、勇者になれるかな?」暖かい木漏れ日の降り注ぐ街道を、2人の少年が並んで歩いていた。背の低い方の少年が呟いて立ち止まると、大きい方の少年も歩みを止め、じっと彼の顔を見つめた。「大丈夫だよ、今更何言って…
Dr.ゲドー診療所※
昼間でもすっかり肌寒くなり始めた秋の午後。いえ、もう日は傾いていますが。精神科医というのも昨今は随分と忙しくなっちゃいましたが、まぁ私のような怪しい開業医を頼ってくる人は少ないものでして。今日はもう予約の患者さんは皆さん帰られましたし、どう…