SM

本当はマゾ

「おい、佐川」「えっ、な、なにかな」昼休み、俺が声をかけると、佐川はいつものように小さな体を震わせた。このビクビクした態度には、毎度イライラさせられる。佐川はクラスに一人はいるような、真面目で大人しく影の薄い、勉強しか能のないような優等生だ…

2人のナイト※

俺には、4つ上の兄がいた。若くして王国騎士団の部隊長だった兄は、剣技に優れ、冷静沈着。女からもモテたがそんなものには見向きもせず、日々真面目に鍛錬に励んでいた。俺は兄のような立派な騎士になりたくて兄に指導を願ったが、「邪魔だから近づくな」と…

帝国の落日・被虐の騎士※

『帝国の落日・プロローグ』の続編です。   「どこだ………ここは」目が覚めると、真っ白な空間だった。家具も何もない、全面白塗りの密室。ただ、天窓から差し込む光が壁や床に反射して、妙に眩しい。そして、そんな純白の…

緑色のコブタ

「くそっ、香穂のやつ………!」土浦梁太郎は悪態をつきながら、誰もいない屋上のベンチにどっかりと腰を落とした。「あいつなら………わかってくれると思ったのに」寒空の下、頭を抱えながら、彼は最愛の人の姿を思い浮かべていた。寂しそうな、日野香穂子の…