性剣ファルシオン

「婚約?君とウードがかい?」ヴァルム帝国領内の駐屯地。イーリス聖王国軍の軍師ルフレは、王子クロムの娘、ルキナと向かい合って座っていた。驚いた様子のルフレの声に、ルキナは静かに頷き、出された紅茶に少し口をつけて物憂げに続けた。「ええ、それでそ…

利家とまら

「前田軍の皆様、本日も昼餉は、いつものごとく、まつ特性名産なんでもおにぎりにござりまする」「ひゃっほー!待ってましたぜ!」「よーし、みんな、食え食えー、ははははは」加賀の国、手取川。前田家当主、前田利家は、大勢の家臣とともに、最愛の妻・まつ…

ブチ込め!

「やっべ、すっかり遅くなっちまったな」午後10時。ふと時計を見上げて、半座龍之介は額ににじむ汗をぬぐった。数日後に大会を控えている。皆が帰った後、顧問の菅野に無理を言って武道場の鍵を借り、一人で形の稽古を続けていた。「いい加減帰らねぇと。あ…

放課後の茶来くん

「自主トレは疲れるなー。すっかり遅くなっちゃたよ」弱小野球部のキャプテン(のようなもの)も楽じゃない。後輩と矢部くんの面倒みてから自分の練習にかかったものだから、すっかり日が暮れてしまった。明日も朝練だから早く帰ろう、と繁華街を歩いていると…

どうしたって叶わない絵空事だろうが

僕の兄さんは、悪魔だ。だからこそ、危険だし監視が必要だからという名目で、無理言って2人部屋にしてもらった。兄の方も露骨に嫌がっていたものの、「祓魔師になりたいなら、少しの不自由くらい我慢しないと」と言えばどうにか納得してくれた。それはいいん…

緑色のコブタ

「くそっ、香穂のやつ………!」土浦梁太郎は悪態をつきながら、誰もいない屋上のベンチにどっかりと腰を落とした。「あいつなら………わかってくれると思ったのに」寒空の下、頭を抱えながら、彼は最愛の人の姿を思い浮かべていた。寂しそうな、日野香穂子の…

敗北者・奥州筆頭

大坂城、本丸。外は戦乱の真っただ中で、剣戟の音や、馬の嘶き、そして兵たちの掛け声で騒然としているが、ここだけは静かだった。その最上階では、六本の刀を背負った独眼の青年が、2人の男と対峙していた。「HEY、てめぇら……オレとアイツの真剣勝負に…