快楽に溺れて民を売り渡した愚神・モラクスが封印されてしばらく経った頃。
新たな神として淫魔を迎えた璃月は、以前にも増して活気に満ち溢れていた。その活力の源はもちろん性欲であり、皆が皆性欲を隠そうともせず淫蕩に耽るようになったが、その分仕事にも身を入れるようになって意外にも国力は衰えなかった。
璃月の民たちは淫魔のことを正当な璃月の神だと思い込んでいるが、自我や理性は取り戻し、一様に朗らかな笑顔を見せている。
ただし、神の目を持っていた者達は別だ。
あの日石になった者達は、今も変わらず情けない姿のまま放置されている。文字通りの看板娘として。小便少女として。はたまた、触手に巻き付かれ、だらしないアヘ顔で固まった少年達の像として。少年像の近くにある尻を突き出した異国の男の像は、休憩用のベンチ代わりに使われている。
各所に点在する滑稽な石像は、ある種の観光名所となって人々を楽しませていた。
中でも特に人気を集めているのは「巨根夜叉の像」だ。
元は別の場所にあったものだが、今は麓に移設されている。
尻に刺さった岩の杭によって、やや高い位置に固定された少年仙人の像。その股間には、彼の座高程もある巨大な陰茎が屹立している。精悍だったであろう顔は苦悶と快楽に歪み、淫魔に逆らったものの悲惨な運命をまざまざと示している。
「さぁさ、いらっしゃい。仙人のちんちん搾り、1コキ10モラだぞ!」
巨根夜叉…… 魈の前には、いつも人だかりが出来ている。その中心で威勢よく声を張っている男は名を平安と言い、かつて熱心な魈の信奉者として仙人の真似事までやっていた人物だが、今は他の璃月人と同様淫魔を唯一絶対の神と信じ込み、淫魔の崇高さと、彼に逆らった仙人の愚かさを伝えることを使命としている。そしてついでに、魈の像を使って金を稼いでいるのだ。
「これなるは今となっては小汚い小僧だが、元を正せば長い時を生きた仙人。恐れ多くも淫魔様に反逆し粛清されたものの、その仙力は今なおこの体に宿っている。見よ、この巨根。まさに生命力の強さを象徴しておろう。なにせこやつ、石と変じてなお子種を放つことができるのだ。その性への執着、並大抵ではない。これに触れば、精力増強、子孫繁栄、こと性に起因するありとあらゆる問題に霊験があろう」
もともとよく口の回る男だ。その商才を活かして「仙人のちんちん搾り体験」などという観光客向けの商売を始めていた。これが思いのほか好評を得て、1日100人以上の客が面白がって魈の巨大な男根を撫でさすっていく。
(ひっ!も、もう、やめよぉっ!触るなぁっ!おほォッ!?♡ やらぁ゛!♡ もお゛っ!♡ イギだくにゃい゛ィィ~~ッ!!♡ ほんぎょおォォ~~ッ!!?♡♡♡)
やんちゃな少年が激しく撫でまわした時、魈の石棒から白く濃い精液が吹き上がった。群衆から拍手が巻き起こり、店主である平安が素早く甕を掲げて精液を受け止めていく。平安の商売は体験事業だけではない。
「見たであろう、世にも奇妙な石像の射精。この搾りたての精液はそのまま瓶に詰めて仙薬として販売しているが、生の精液を口にすることに抵抗がある者もいよう。そこでより食べやすくするため、加工して一晩寝かしたものが、これだ」
平安が机の上に置いたのは、皿に入った杏仁豆腐だった。食べやすいように一口サイズに四角くカットされている。だがよく見ると若干色が濃く濁っており、やんわりとだが生臭さを放っている。
「この巨根夜叉が現役の仙人だった頃、好んで食していたのが望舒旅館の杏仁豆腐だ。なんでも「夢」に似ているなどと賞賛していたという。それに見立てて、こやつの精液を杏仁豆腐のように加工し、薬草で臭いと食感を和らげたものがこの「淫夢」である。観光の記念としても、健康食材としても、これに勝るものはあるまい。一皿なんと500モラ、買わぬ手はないぞ!」
観客たちはわっと声を上げて隣に建てられた平安の店へとなだれ込んでいった。破格の値段のように宣伝しているが、魈は絶え間なく股間をまさぐられているため、1日に100回近くは射精している。1回の量も並大抵ではないので、仕入れ無料の材料でほぼ無限に商品が生産できるのだから、こんなにうまい商売はない。平安はそうして得た資金をもとに、淫魔を祀る立派な寺を建立する計画を立てている。
こうして魈の精液は璃月の新たな珍味として、テイワット中の人々に食され続けることになる。
硬派で世事を遠ざけて隠棲していた魈が性の象徴として消費されているのは何とも皮肉な話だが、本人にとってはもはや恥や外聞などどうでもよかった。なにせ石像となっても尚耐えることなく絶頂し続け、射精し続けているのだ。
(いひいっ♡ もう♡ チンポぉ♡ しゃわりゃないりぇえ……♡ オホッ!♡ だりぇか♡ たしゅけ……んッほおお゛ォォ~~ッ!!?♡♡♡)
必死の命乞いも虚しく、無限に等しい時の中で射精し続けるという、夜叉の業障よりもさらにおぞましい業を背負い続けることになった哀れな石像。これが、無謀にも淫魔に立ち向かった魈の、想像を絶する末路であった。
そして、魈たちがこのような姿になる原因となった岩王帝君・鍾離はというと……。
璃月港にある人気の酒場、三杯酔。ここにも石像が一体、移設されていた。正確には岩の柱が一本。そこに大きな尻を突き出す形で石像が埋まっている。それを見上げるようにして鷹揚に語るのは、講談師の田饒舌だ。かつてこの石像の元になった者……鍾離も、彼の講談を好んで聞いていた。
「これからお話しますのは、淫魔様がこの地を治めるきっかけとなった出来事だそうです。ここに埋まっている男は普段は人間として振舞っていましたが、その正体はかの岩神モラクス、恐れ多くもかつて淫魔様に歯向い、璃月の神の座を簒奪した愚かな邪神でした。モラクスの非道を見かねた淫魔様は、長い眠りから目覚めると瞬く間に璃月を解放されました。その際、モラクスはあろうことか醜く命乞いをし、あげくに淫欲に溺れて仲間を売り渡したというのです。淫魔様の教えは節度ある性欲の享受ですが、この邪神は野性の動物のように快楽を貪り、欲に溺れて正気を失いました」
講談師は流れるように話すと、広げた扇子でパシン!と一発、鍾離の大きな陰茎を小気味よく叩いた。
「ご覧ください、この姿!無駄に大きな陰茎!卑猥なまでに豊満な尻!みっともなく伸ばした鼻の下!この通り、自らの性器を咥えこんでいるのですよ!犬畜生でもここまでの醜態は晒しません!」
パン、パンと、話に合わせて尻や口元も叩いていく。その刺激で石と化したペニスが震え、ドロリと濃い白濁液が吐き出された。観衆から野次や悲鳴が上がる。
(おおお゛ッ!♡ またイグッ!♡ おほオオ゛ッ!♡ も、もう゛、やめてくれぇ……!♡ いや、でもっ、今のいい!♡♡ チンポもケツも、もっとパンパンしばいてくれっ!♡ アヒッ♡ ンヒイイッ!♡)
際限のない射精に苦しむ一方、詰られ、叩かれることに抑えようもなく興奮してしまう。身も心も被虐趣味の変態石像へと堕ち切った鍾離にとっては、罰もまた快楽になり、快楽がまた罰となって、永遠と狂気じみた快楽と苦痛を享受しているのだ。
「この通り!石と化した今となっても未だに性欲を捨てきれず、一日中精液を垂れ流しているのです。似たような像を御存じでしょう。平安のところの巨根夜叉、あれはこのモラクスの手先だったようですよ。ともあれ、この邪神は仲間を石に変えたばかりか、自ら性器や尻を振りたくって醜い命乞いをし、命乞いをする惨めな自分にすら興奮して自分の性器を舐めしゃぶり、自らの岩の力を暴走させてこのような姿になったということです。このように浅ましく猥褻な神を崇めていたのは我々璃月人の大いなる過ちでありましたが、こうして邪神が身の丈に相応しい無様な七天神像として封印された今、聖主たる淫魔様の元、璃月は新たな一歩を踏み出したのであります。ご清聴ありがとうございました」
長々と一息に話しきった田饒舌が頭を下げると拍手が巻き起こる。そして同時に、
「なんて醜い変態野郎だ!」
「風化するまでてめぇのチンポをしゃぶってろ!」
などと、卑猥な像に罵詈雑言が浴びせかけられる。
(ち、ちがううっ♡ そんなんじゃないんだ♡ 俺は変態なんかじゃ……ああ゛ッ!♡ ゾクゾクする!♡ もっと言ってくれ!♡ 変態のクズ野郎♡ 魈以下の粗チン野郎♡ デカケツ汚チンポ帝君、と!♡ 罵ってくれぇっ♡ おひょっ♡ んっひょおおお゛~~ッ!!!!♡♡♡」
言葉責めだけで再び精を漏らすひょっとこセルフフェラ像。だが魈の精液と違って需要はなく、ただ地面を濡らして乾くだけだ。
こうして騒がしくも平和な日常を取り戻した璃月。石となった者たちはそれから何千年にも渡り、衆目を楽しませながら静かに快楽に溺れていったという。
おしまい。