翌朝、すっかり日が高くなってから、珂波汰の弟・那由汰が帰宅した。
(ぜってぇ怒ってるよな。珂波汰のやつ)
那由汰にとって珂波汰は最愛の肉親だが、珂波汰は少し過保護というか、那由汰に対する執着心が強すぎる。一晩中四季と一緒だったことがバレたら、面倒なことになりそうだ。
「ただいまー」
あえて何気ない挨拶をしてドアを開ける。返事はない。
(やっぱ怒ってんのかな)
と思った次の瞬間、那由汰の目に、とんでもないモノが飛び込んできた。
「な……なんだよ……これ……」
狭い部屋の真ん中に、奇妙なモノが置かれている。人の形をしているが、メタルのような色をして、物言わぬ物体。
那由汰にはすぐにわかった。それは人の形というより……珂波汰の形をしているのだ。
「かっ、珂波汰!? おいっ! どうしたんだよっ!?……うっ」
慌てて駆け寄る。暗い部屋で薄明りに照らされたソレは、やはり珂波汰の顔をしていた。
だが、それは普段の珂波汰からは想像もつかないような間抜け面だった。白目を剥いて舌を垂らし、自分の双子の兄弟とは思えない程、快楽に歪んだ醜い顔をして、金属と化している。
おまけに、なぜか珂波汰は下半身裸で、無様に股をおっぴろげ、尻にぶっとい棒を差していた。
珂波汰に似た置物などではなく、メタル化した珂波汰なのだということは明らかだ。
ファントメタルを使いすぎると、その副作用として全身がメタルに侵食されてしまう。那由汰自身、そのせいで生死の境を彷徨ったことがあるのだ。那由汰の全身から血の気が引く。
「なんだよ……っ!珂波汰!おい、何があったんだよ!珂波汰!」
珂波汰の肩を揺さぶると、丸出しの尻が揺れ、向かいにあった像までゆらゆらと揺れた。
全く眼中に入ってなかったが、そこにはもう一体、珂波汰と同じような情けないメタルの像が佇んでいる。BAEの朱雀野アレンだ。
アレンも下半身裸でチンコとケツを晒し、ケツに刺さった棒で珂波汰と連結し、一個のオブジェとなっている。珂波汰と同様快楽に振りきれた情けないアヘ顔を見て、那由汰の背中にぞわりと悪寒が走った。
「なんで……こいつまで。なんだよ、これ。あ、あるわけねーだろ、こんな……。くそぉっ!!」
那由汰は焦燥に任せてアレンの頭を蹴り飛ばした。アレンが振り子のように揺れ、ソレと連結した珂波汰まで、チンコ丸出しで揺れ動く。まるで二体で一体の悪趣味な遊具だ。
「珂波汰!嘘だろ!しっかりしろよ、おい!」
「そこまでです。こんな朝っぱらから、近所迷惑ですよ」
「なっ……!?」
突然かかった声に振り向くと、BAEの残りの二人……夏準とアンが立っていた。
「あーあ。あんまり遅いから様子を見に来たら。来てよかったね、夏準」
「もしやとは思っていましたが、まさか本当にこんな姿になっているとは。それにしても、想像していたより八割増しで醜いですね。よくもまあ、ここまでの恥が晒せるものです。せっかくなので記念に撮影しておきましょうか」
「ちょっと。さすがに可哀そうでしょ」
那由汰は未だに事態が飲み込めない。
「おい!何がどうなってんだよ!はやく何とかしねぇと、珂波汰が!」
「そう心配しなくても大丈夫ですよ。トリップ反応が粗悪品のメタルに作用して、一時的に固まってるだけですから」
「トリップ反応?粗悪品?なんのことだよ」
「あー、詳しい説明は後でしてあげるけど。ほら、二人のお尻に刺さってる棒。あれが、粗悪品のファントメタルなんだよ。最近出回ってるみたいでさ。あとトリップ反応っていうのは、ええと……」
「要するにトラップ反応の一種ですよ。特別下品な、ね。トリップ反応でおバカになってるところにこんな粗悪品を使ったせいで、粗悪品が暴走してメタル化してしまったんです。でもご心配なく。粗悪品のメタルなどただのオモチャですから。放っておけば一時間もせず元に戻りますよ」
「……信じていいんだな」
「勿論です。おそらく、貴方のお兄さんはうちのアレンの盛大な自慰行為に巻き込まれたんでしょう。申し訳ないことをしました。物言わぬアレンに代わってお詫びします。……まぁ、そうは言っても尻にディルドをつっこんで連結するなんて、二人とも救いがたいド変態だったんですね」
最愛の兄をコケにされるのは気に食わないが、さすがにこんな姿を見せつけられては反論できない。那由汰はとりあえず安堵の息を吐き、珂波汰の隣に腰を下ろした。
「まったく……。心配かけさせやがって」
アホ面の兄の頭を優しく撫でる。どんな姿になっても、珂波汰は珂波汰だ。
一方、当の珂波汰は気が気ではなかった。メタル化した今でも、意識は残っているのだ。
(くそっ!見るな!お前ら全員出てけよ!那由汰にまでこんな姿見られるなんて……♡あぁくそ!人生終わるレベルの恥かいてんのに、チンポがうずいて仕方ねぇ♡♡ 射精してえぇっ♡♡♡)
(あへええええ゛ェっ♡♡♡♡♡ 夏準!♡ アン!♡ もっと見てくれっ♡♡ 俺のチンポ♡ アナル♡ アヘ顔♡ 間近で観察して、思いっきり、もっと、罵ってくれよぉ♡♡♡ ンほおおおおお゛ぉ♡♡♡♡♡)
二体のうちに漲る溢れんばかりの欲望のせいか、メタルの体がカタカタと震えた。
「生気は感じるな。やっぱちゃんと生きてんだな、珂波汰」
那由汰が何気なく、珂波汰のペニスを握る。ちょうど握りやすい位置にあったから握っただけだが、それが珂波汰には強烈な刺激となった。
(あひいいぃっ!?♡♡♡ いま、チンコ触られたら……あへええええ゛ェ♡♡♡♡♡♡)
(珂波汰!?珂波汰の興奮が伝わってきて……♡ンオオオ゛おぉ~~ッ♡♡♡♡♡)
ブシャアアア!!
二体のペニスから、勢いよく体液が吹き上がった。
「うおっ!キタねぇ!!」
那由汰が思わず飛びのく。
「うっわー。こんな姿になっても射精できるんだ。サイアクでしょ」
「メタル化しながら精を撒くなんて。ふふふ、随分と面白いオモチャですね」
(ご、ゴメン、那由汰……!頼むから、見ないでくれよっ! ……でもっ♡ ああ゛っ♡ 那由汰のゴミを見るような目♡ サイッコー♡♡♡)
物言わぬ珂波汰はペニスで語る。とろとろと残り汁を垂らす珂波汰のチンコを見て、那由汰は意地悪く笑った。
「はっ。なんだよ珂波汰。俺に見られて興奮してんの? ダッセ―の♡ ……珂波汰が悪いんだからな。俺がいない間に、こんな奴とこんなことして、このザマだ。……オシオキしてやるよ」
那由汰がペニスを優しく撫で、珂波汰の頬に舌を這わせる。
(……!! 那由汰……♡♡♡)
ブピュッ、ブベッと汚い音を鳴らして、珂波汰のペニスから汁が飛んだ。
「うっわー。二人の世界入っちゃったよ。ねぇ夏準、僕たちはどうする?放っといてもいいなら、もう帰ろうか」
「そうですね。じゃれあうネズミの邪魔をしては悪いでしょうし。それに、恐らくアレンにとっては放置されるのが一番の御褒美でしょうから」
(い、行かないでくれ、アン!夏準!俺も、もっと罵られたいんだ!罵倒して、蹴とばして、なんなら小便でもかけてくれよぉ!! ンおお゛ッ♡♡)
お預けをくらったアレンはその惨めさにすら興奮し、じんわりと先走りを垂らしていた。さらにはcozmezの立てる淫靡な水音に興奮し、元に戻るまで空イキを繰り返すことになる。
この事件をきっかけにマゾヒストという新たな扉を開いてしまった珂波汰とアレン。その後、居合わせた三人を巻き込んで、果てのない淫欲の渦に溺れていくことになる。

