Dr.ゲドーVS天才ハッカー(後編)

※『Dr.ゲドーVS天才ハッカー(前編)』の続編です。

 

 

 

 

……危ないところだった。

赤峰健太は、パソコンを抱えて街を歩きながら、ほっと息を吐いた。天才ハッカー、ヘラクレスともあろうものが敵の仕掛けた罠にハマり、危うく露出狂の変態に変えられそうになってしまうなんて。ゲドーをなめていた。稀代のハッカーとして持ち上げられるあまり、慢心があったのかもしれない。

「ゲドーがいい奴でよかった……。これからは気をつけるよ、キング」

肩を落として力なく笑いながら、少年は肩に乗せたカブト型のロボットをなでた。
結局ゲドーは健太の説得に心を打たれ、改心してくれたのだった。もう自分は力を悪用しない、その代わり、キミもハッキングはやめることだ、それも立派な犯罪だよ、と、彼は優しく諭した。その通りかもしれない。警察や社会の不正を暴くにしても、こちらまで法を犯していいものだろうか。ゲドーの言に納得した健太は、言われるまま自分のPCの中のゲドーの情報を完全に削除した。

「正義って、難しいなぁ。やっぱ俺も、無力な子どもに過ぎないのかもな……」

その点、ゲドーは紳士だった。自分を解放し、正しい道を示し、おまけに、汚いケツ毛まで剃ってくれた。

「せっかくきれいな赤ちゃんチンポになれたのに、こっちがジャングルってのもねぇ……仕方ないなぁ、ホントはこんな汚い尻なんて触りたくないけど、特別に私が剃ってあげましょう」

そう言ってゲドーは、健太の尻毛をきれいさっぱり処理してくれた。チン毛も剃ってもらったし、ペニスはまだ剥け切っていない。これで下半身は立派な幼児だ。そう、これで心置きなく……
やがて健太は大型ショッピングモールの前を通りかかった。ちょうど尿意を催していたので、彼は大勢の若者でにぎわう店舗のトイレへと駆け込んだ。小奇麗な広いトイレだ。その一番奥の小便器で、小学校高学年くらいの少年が用を足していた。他には誰もいない。

(へへっ、ちょうどいいや)

健太はケースに入れたパソコンを洗面台におくと、他の便器が空いているにもかかわらず、わざと少年のすぐ隣の便器の前に立った。少年が迷惑そうに健太の方を見た、その瞬間。
ずるっ、と。健太はパンツごとズボンをずりおろし、尻とペニスを丸出しにした。おまけにシャツを両手で腹の辺りまでめくり上げ、そのままチョロチョロと放尿し始めたのだ。
少年は用を足しながらも、ギョッと目を見開いて健太の方を見つめる。健太は思わず口元がにやけそうになるのを必死で抑えた。

(おいおい、俺は毛も生えてない赤ちゃんチンポなんだから、こうやって用を足すのは当たり前じゃんか。確かにこの歳でこんな恥ずかしい体なのは珍しいだろうけど、だからってそんなに見つめるなよな。へへ、まぁ、その方がありがたいけど♪)

健太は少年から見やすいように、わざと数歩下がって放尿を続けた。きちんと行儀よく用を足す小学生の隣で、幼児のように下半身を丸出しにし、無毛のペニスを突き出して放尿する中学生。しかも健太のペニスは最近オナニーにハマり過ぎていたせいで若干左曲りになっており、手で支えていないため、黄色い尿が便器の淵に当たってビチヤビチャと少年の方に飛び散る。

「うわあっ」

ちょうど放尿を終えた少年はペニスをしまうよりも先にその場を飛び退き、尿を避ける。

「あ、わりー。跳ねちゃったな」

笑顔で謝る健太を、少年は汚物を見るような顔で睨んでいた。健太はそっと、少年の股間のチャックから飛び出たペニスを観察してみた。包茎ではあるが、自分より少し大きなペニスに、うっすらと毛が生えている。

(へへ、俺、こいつより年上なのに、チンポ完全に負けてるよ。小便も上手にできなくて跳ねまくってるし、俺かっこワリー)

もはやニヤケるのを抑えられなかった。興奮のあまり、放尿しながらペニスが勃ち上がりはじめ、さらに小便が跳ねまくる。

「……変態」

低く小さな声で言い捨てて、少年はトイレから走り去っていった。

「なにが変態だよ。俺は赤ちゃんマンなんだから仕方ないじゃん」

ぶすっと独り言を漏らしてみたものの、少年の捨て台詞で健太のペニスは包茎のまま完全に勃起していた。尿が出なくなると同時に、必死になってしごきあげる。

(やっぱり人にチンコ見られんの最高だ!ゲドーに汚い毛剃ってもらったおかげで、トイレなら合法的に見せつけられる!ああっ!すっげー気持ちいいっ!!)

便器を狙ってシコシコとペニスを扱きあげる健太。と、そこへ後ろから、

「け……健太?何やってんのお前……?」

突如、耳慣れた声が聞こえた。手を動かしたまま顔だけひねると、サッカー部の友人が呆然と立っていた。

「しっ、白石!?なんでここにっ……んあああっ!出るっ!!」

ビュクン ビュクン……

健太は親友の前でケツを丸出しにしながら、便器めがけて精液を発射した。はぁ、はぁ、と、息を吐きながら、健太はそのまま床に座り込んでしまう。ひんやりとした感触が尻にくすぐったい。

「あ……えと……俺、彼女と買い物に……って、す、すまん、なんか邪魔したか?てか、その、大丈夫か?」

目を伏せながら、友人はわたわたとまくしたてたが、健太が大丈夫だと答えると、バツが悪そうに急いで出て行ってしまった。

見られた。
親友に、変態な俺を……。

「へへっ、サイッコー……ハッキングなんかより、ずっとワクワクする……」

健太はしばらく、下半身を露出したまま、トイレの床に座り込んで、うっとりと余韻に浸っていた。

 

 

 

その夜、東京都内、某ホテル。

私は熊さんとテーブルを挟んで向かい合い、のんびりとワイングラスを傾けていました。何かいいですね、高層ビルから夜景見下ろしてワイン飲むのって。

「それで?経過は順調ですか、先生」

クマさんが狭いテーブルを押しつぶさんばかりに身を乗り出し、尋ねてきます。

「もう種は撒きました。私の仕事は終わりですよ。あとは彼が勝手に動いてくれるのを待つだけです」
「奴が勝手に、ですか?」

熊さんは要領を得ないという風に首をかしげます。

「しかしですな、奴から証拠を引きずり出して逮捕せんことには……」

ああもう、ワインくらい静かに飲ませてくれないもんですかねぇ。この方はどうも変なとこで真面目らしく、職務中だからと酒にもつきあってくれません。ま、いいでしょう。彼がどんな様子か、私も気になりますからね。そろそろ動いているかもしれません。

「わかりました。じゃ、確かめてみますか。奴が今どこにアクセスしてるか、わかりますか?」
「ええ、奴の自宅もパソコンの型番もわかっていますし、大体は。ですが、ハッキング中だとジャマ―をかけられている可能性も……」
「それは大丈夫でしょう。奴には自分の無力さを教えてやりましたからね。今ごろはどこぞの掲示板でも覗いてるんじゃないですかね」
「はぁ。掲示板、ですか」

熊さんは首をひねりながらもパソコンを立ち上げ、何やらゴテゴテとした機材や無線を使いながら、数分で赤峰くんの「居場所」を突きとめてくれました。

「……『男の世界』……なんですかなこの怪しいサイトは。ヘラクレスの奴、こんなページで何を調べるつもりだ」

ホモ向けの画像投稿板、ですか。くくっ、いやはや、ここまでシナリオ道理に事が運んでいるとは、若い性欲ってのは暴走するとどうしようもないですねぇ。
と、すぐに気になるレスを見つけました。

211名前:赤ちゃんマン :2011/10/16(日) 23:25:44
はじめまして。チンポ見られるのが好きな変態中学生です!俺のチンポ、見てください!

「熊さん、そこの、画像リンクです。開いてください」

言われるままに熊さんがリンクをクリックすると……

「これはっ……」

画面いっぱいに、卑猥な画像が映し出されました。

まだ幼い体つきの少年が、全裸になって左手で目を覆い、右手でピースを作ってガニマタでペニスをおったてている写真です。小柄な割にほどよく筋肉が付き始めたなまめかしい体ですが、股間はつるつるの包茎、勃起してますが10センチには満たないでしょう。目は隠れて見えませんが、ツンツン跳ねた黒髪に鼻の絆創膏、何より肩に乗せたカブト型のロボが、少年の正体を示しています。

「あっ、赤峰!?ヘラクレスなのですか、この変態が!?」
「見てのとおりですよ。恐らく、セルフタイマーでも使ったんでしょうね」
「信じられん。あれだけ我々を苦しめた天才が、こんな変態になるとは…」
無表情、無感情な熊さんが珍しく声を荒げています。まぁ、私もあんまりうまくいきすぎて思わず顔がほころんでしまいますが。
「もともと素質があったんですよ。私はただ、それを強調してやっただけ。あんまりすぐ終わっちゃつまらないんで、露出は犯罪だからと、捕まらないよう工夫するようには仕向けましたが。天才ハッカーくんがどんな知恵を出してくるかと期待してたんですが、ありきたりの画像投稿とはねぇ。ま、不特定多数に安全に見せたいならそれが一番か」

あ、まずい、喋り過ぎちゃったかな?さっさと逮捕できるのに遊んでるのがバレたかも…。恐る恐る顔をあげると、熊さんがキラキラした目で私を見つめていました。

「先生……」
「え?はい、何でしょう?」

すると熊さんはグッと親指を立て、

「いいぞもっとやれ」

……あらあら、あなたも好きねぇ……。とはいえ、赤峰くんが予想以上の変態だったとなると、自滅するのももう時間の問題ですね……。私は急に明るくなった熊さんと一緒に、次々とアップロードされてくる少年の痴態を肴に、一晩中酒を酌み交わしたのでした。

 

 

 

東京都内・赤峰健太宅

≪これって本物の中学生?コラじゃね≫
≪でも体型は厨房じゃん。さっきの動画の声も高めだったし≫
≪どっちみちなんだよこの変態?マジキモいんですけど≫
≪男でパイパンとかwww誰得wwww≫

「あはああぁーん!サイコ~!もっと罵ってくれよおっ!ふああっ!!」

健太は何度目になるかわからない射精を終えると、ふと思いついて出した精液を指に絡み付け、できるだけ厭らしく舐めしゃぶる姿を動画に収めた。そしてまたそれを投稿する。

「目線…入れたくないけど…しゃーねぇよなー」

健太は不満そうに頭を掻きながら、掲示板を上から読み返してみた。この板はもはや、健太の痴態写真とそれに対するレスで埋め尽くされようとしている。はじめは普通のガニ股ピースだったが、リクエストにこたえて次々と痴態を晒していった。

無毛のチンポに赤いマーカーでゾウさんの落書きをしてみたり、ブリーフを履いて半ケツ状態になり、某ケツ●け星人よろしく腰を低くしたまま「ブリブリ~」と両手を振ってカニ走りしてみたり。或いは、絆創膏の位置をずらして鼻テープにし、広げた鼻を鳴らしてブタのようにフゴフゴ鳴いてみたり…。

そんな様子を逐一写真や音声付きの動画に収めて、随時公開していった。そして返ってきたレスを見てオナニーを繰り返すのだ。

「やばい、癖になりそう。俺ってマジで変態……ん?」

画面をいじってるうちに、いつもの癖で開いていたヘラクレススレの方に目がいった。

322名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/10/17(月) 04:38:32
今度はいつでるかな、ヘラクレス
323名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/10/17(月) 04:42:11
今から楽しみだ。いかにも正義の味方って感じで、カッコいいよな

カッコいい?ヘラクレス……この俺が?そういや昨日学校でも……

「健太、お前ってスゲーよな。馬鹿だけど、なんかカッコいいっていうか。いや、変な意味じゃないぞ」
「赤峰君、あの、ね?クッキー焼いてみたんだけど、食べてくれる?」

……あれ?俺は誰だ?カッコいいヘラクレス?カッコいい赤峰健太?それとも変態の赤ちゃんマン?…あれ?だいたいいつから俺、変態になったんだ?

「ううっ……げ、ゲドー……?ま、まさか、俺は、奴に操られているのか?」

だとしたら許せない。ちくしょう、思い出せ、冷静に考えろ、赤峰健太……!

と、その時、そばにあった携帯からメールの着信音がした。開いてみると、知らないアドレスからだった。

―――これがヘラクレスの正体、赤峰健太くんです。
ぼうっとした頭のまま、添付されていた画像を開くと、そこには、

公園の噴水にケツを突っ込み、アヘ顔ダブルピースを晒す全裸の自分がいた。

昼間、倉庫を出た後、ゲドーに誘われて全裸で公園を散歩した時に撮ったものだ。だが目線も目隠しもないそのアホ面を見れば一目瞭然だった。そこに映っている変態は、まぎれもない自分だ。そう、自分は、ヘラクレスであり、赤峰健太であり、そして、露出狂のド変態でもあるのだ。ただそれだけの話。こんな簡単なことに気づかなかったなんて。

「そうだな。隠し事は良くないって、死んだ父ちゃんも言ってた。俺の正体、みんなにも知ってもらわないと!」

健太の中で、何かが壊れた。

 

 

 

翌日、午後10時

結局昨夜は徹夜で赤峰くんの痴態に付き合わされてしまいました……。熊さんったら、急にノリノリになっちゃって、寝かせてくれないんだもん。途中から安価スレみたいになってたんですが、熊さん、警察の機材使って掲示板のレス並び替えたりして……おかげで安価独り占めで痴態リクし放題……まったく大人げない。
まぁ赤峰の奴も今日は学校休んだみたいなので監視の必要もなく、ゆっくり眠れましたがね。そして今夜もまた、私は熊さんとパソコンの前で待機しています。

「そろそろ始まりますよ先生」
「始まるって何がです?」
「ヘラクレスから犯行予告があったんです。今夜10時からの某動画サイトの生放送を乗っ取ると。そこで全てを明らかにする、とのことです」

それはそれは…どうやら、彼もまた演じてくれるようですね。
一世一代の変態ショーを……。

そして、その時は訪れました。生放送中の大物政治家のインタビューが突然途切れ、しばしの暗闇の後画面に現れたのは、ヘラクレスが犯行時に使う、カブトマークのロゴマーク。すると、

≪ヘラクレスキタ―!≫
≪すげー!あいつの化けの皮、ヘラクレスがはいでくれんだよ!≫

と、弾幕のようにコメントが飛び交います。どうやら、インタビューを受けていた疑惑の政治家の不正を暴きに来たと思われているようですね。

しかし、次に映し出されたものは、そんな視聴者の期待を大いに裏切るものでした。

「ちぃっす!こんばんは!俺、○○中2年4組の、赤峰健太です!そして、またの名を、ヘラクレス。俺が、世間を騒がせていたハッカーです」

生中継に登場したのは、マントのつもりでしょうか、青いカーテンに身を包んだ赤峰君でした。ヤンチャそうな外見そのままに、元気にハキハキ自己紹介します。

≪なにこのガキ?厨2病のヘラクレスファン?≫
≪いやでも、実際に動画乗っ取ってるってことは、本物?≫

そんなコメントを読んでいるのか、赤峰くんは肩のカブトロボを掴み、それをかざしながら続けます。

「このロボの中に、今まで盗んだデータを全てしまってます!これが決定的な証拠です!」

「なんと、あんなところに隠しておったとは」
「ははは、ついに出ましたねえ、動かぬ証拠が」
「おお、そうですな!すぐに回収に行かねば!場所を割り出しましょう」
「まぁまぁ、もはやそうあせることもないでしょう」

はやる熊さんを引き留め、画面に目を戻します。ショーはここからですよ…

「それともう一つ!実は俺、ヘラクレス、赤峰健太は……」

赤峰くんはバッ、とカーテンを脱ぎ去り……

「露出狂の、変態中学生なんです!イエーイ、白石見てるー?」

全裸を晒してピースを見せつけました。体には至る所に「変態」「赤ちゃんマン」「チンポ大好き」などと卑猥な落書きが施されています。自分で書いたのでしょう、文字は全て上下逆になっています。

≪ぎゃああああああああああああああああ!≫
≪おまわりさんこいつです≫
≪おいだれか止めろ≫

悲鳴にも似たコメントが画面を覆い尽くし始めると、熊さんがコメントを非表示にしてしまいました。腕を組んで真剣に赤ちゃんマンを見つめています。……反応が見れた方が面白いのに。

「警察のみなひゃまぁ!ご迷惑おかけして、すみませんでしたぁっ!注目されて、変態な姿、皆に見て欲しかったんですぅ!」

ふふ、昨日の昼間のうちに仕込んでいた暗示が無事に覚醒したようですね。変態だと自覚してくれて何より。

「ああっ!たまんないっ!今、何万って人が俺の裸見てるんだぁっ!赤ちゃんチンポ勃っちゃう!ケツがムズムズしちゃうぅ!!……へへっ、みんな、見ててくれよ……不正の証拠を俺の尻に……」

下品な笑みを浮かべながら、赤ちゃんマンはカブトロボの角を、指でならしたケツにあてがい……、

「インストォールッ!!!」
ズボッ
「ほわぎゃぁあぁああぁああぁぁっぁぁぁぁ~!?!?!?」

勢いよく突っ込むと、目玉が飛び出さんばかりに剥き上がり、舌が突き出て、おまけにペニスからは小便が吹き出しました。あの可愛らしかった顔が、まるで妖怪です。

「ひぎ、ひひひ。んひひひヒィーっ!!イイにょぉ~!ケツがきもひぃにょお~っ!」

地面に横たわり、必死でカブトをかき回しながらペニスをしごく天才ハッカー……いえ、自らの小便の海で泥まみれになったあの姿に、天才などという言葉はあまりに不似合ですね……。ん?泥まみれ……?

「……熊さん、この子まさか……」
「……野外ですな。街灯の多い公園かどこかでしょう。すぐに公然わいせつで現行犯逮捕させねば」

やれやれ、8割私のせいとしても、近頃のガキは恐ろしいほどの変態ばかりですねぇ。あんな奴が偉そうに正義面してたと思うと吐き気がしますよ。すっかり興の覚めてきた私と対照的に、熊さんは活き活きして見えます。ずっと小ばかにされてきた仇敵の惨めな末路に、感慨深いものがあるのでしょうか。

赤ちゃんマンの変態中継を携帯で確認しながら、私たちは車で現場へと向かいました。区内で最も大きい、人通りの多い公園です。我々が到着したころには既に大勢の人が変態少年を遠巻きに取り囲み、カメラで撮影したり罵声を浴びせたりしていました。

「んへへええええ~っ!しゅごい、俺、こんな大勢にみてもらえて、しあわへぇ~♪本当の俺、もっとみてぇー!」

顔中に広がった尿や涎鼻水のおかげで、赤ちゃんマンの全身はすっかり泥で汚らわしくコーティングされていました。立ち上がってカブトをケツの中でかき回しながらオナニーしていますが、鼻から地面までつながる泥の糸は圧巻です。目は完全に白目を剥き、時折包茎の中に指を突っ込んではチンカスを掬い上げ、それをうまそうにしゃぶっています。

ああ、ダメだこりゃ。私はもう、こんな汚い生き物は見てられません。そんなに酷い暗示はかけてないのですが、ちょっと壊し過ぎちゃったかな…

「け……けんた……」

汚物と化した少年から目をそむけると、蒼白な顔をして震える少年が目に留まりました。かわいそうに、アレの友人でしょうか。その少年がフラフラと前に進み出て、赤ちゃんマンと目が合ったとき……

「へへっ、白石ぃ……!ホントの俺、見てくれぇ!カッコ悪いオレおぉっ!んほおおおおおおおおおおっ~~~~~~~~~!!」

ついに赤ちゃんマンの包茎ペニスからネバネバの精液が飛び出し、そのままどさり地面に倒れ伏してしまいました。その衝撃で、尻に刺さったままのカブトの角がポキリと折れ、中からメモリースティックが飛び出します。

「赤峰健太!公然わいせつの現行犯で逮捕する!こっちの余罪についても、きっちり吐いてもらうからな」
熊さんがそれを拾いながら、倒れた赤峰に手錠をかけました。

中継もそこで終わり、悲鳴に包まれる中、この露出ハッカー事件は、ようやく幕を下ろしたのでした。

 

 

翌日。

やれやれ、今回もとんだ変態事件に発展してしまいましたが、世間を騒がせたハッカーを退治したとなると、やはり気分はいいものですねぇ。コーヒーを飲みながら東京駅で新幹線を待っていると、熊さんが見送りに来てくれました。

「先生、あなたには本当になんとお礼を言えばよいのやら。礼金は後日、口座に振り込まさせてもらいます」
「いえいえ、国家のお役に立てたのであれば何よりですよ。それより、例のデータは無事でしたか?随分乱暴に扱われてたようですが」
「ええ、証拠は無傷です。奪われたデータも全て無事でした。しかし…」
「なんです?」
「奴は大変なものを盗んでいきました」

……いやな予感……

「……なんです?」
「私の心です」

知るかよ。思わず口に出そうになっちゃいました。ですが熊さんは真剣な表情のままで、

「年齢も年齢ですし、起訴されたとしても執行猶予はつくでしょう。そうしたら、私が彼の後見人になるつもりです。社会
復帰は難しそうですが…彼は強い子です。なんとかやっていけるでしょう。そうそう、彼からこれを、あなたにと……」

驚いた、彼から私に?受け取った手紙を開いてみると、汚い字で大きく一言。

「次は負けないよ、ですか」
「ね、強い子でしょう?」

あ、ニッコリ笑った。……やっぱり似合いませんねぇ。

「また東京にいらすことがあれば、顔を出して下さい」
「ええ、その時はよろしく、では、御機嫌よう」

受け取った手紙を新幹線の中で読み返し、変態の知り合いばかり増えてくなぁと、私は思わず苦笑してしまいました。さて、次のターゲットはどんな人物になるのやら……。

私の東京旅行も、それでおしまい。世間を騒がせたヘラクレスは、露出狂の変態ハッカーとして、末永く語り継がれることとなったのでした。めでたしめでたし。

~FIN~

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