Dr.ゲドー診療所※

昼間でもすっかり肌寒くなり始めた秋の午後。いえ、もう日は傾いていますが。

精神科医というのも昨今は随分と忙しくなっちゃいましたが、まぁ私のような怪しい開業医を頼ってくる人は少ないものでして。今日はもう予約の患者さんは皆さん帰られましたし、どうせ暇なだけだからさっさと医院を閉めて映画でも見ていたかったんですが、さすがに診療時間を守らないわけにはいきませんからね。いつものように診察室でエロ本読んで時間をつぶしていました。
すると受付終了時間間際になって、看護婦さんがカルテを持って入ってきちゃいました。やだなー、めんどくさいなー、もう時間ですからとか何とか言って追い返しちゃおうかなー、とか思いながら受け取ったんですが、それは普通の用紙ではなく、黒い紙に白のペンで書かれたものでした。

なんだ、あっちの客だったか。

随分久しぶりでしたので、話だけでも聞いてやろうという気になって、患者、いえ、この場合は客ですね。その方を招き入れることにしたんです。
そうしたらびっくり、入ってきたのはまだ年端もいかない少年ではないですか。小さな体に不似合な学ランを着て、伏し目がちに身を縮めていました。真っ黒な長い前髪が片目を隠していて、暗い印象を受けます。

「君、どこでウチのこと聞いたんだい?」

思わず尋ねると、

「ネットで、調べた。掲示板立てまくって、力になってくれそうな人探してたら、ここを挙げた奴がいて」

やれやれ、最近の子供は。その年で○ちゃんでスレ立てたりしてたら、ろくな大人になんないよ。しかし、ちょっと根暗ではありますがなかなか可愛い顔の子です。とりあえず、相談には乗ることにしました。カルテをめくりながら、名前を確認します。

「江村義哉(えむら・よしや)くん、へぇ、高1なんだ。てっきりまだ中学生かと、あ、いやいや失敬。わざわざ隣の県からやってきたんだ。偉いねぇー」
「おじさん、馬鹿にしてるでしょ」

意外とはっきり物を言う子です。暗い目で睨まれると、なんか嬉しくなっちゃいました。

「してないしてない。ええと、それで?希望する処置が「復讐」になってるけど。これだけじゃよくわかんないから、ちゃんと話してくれないと困るなあ」
「楢崎龍一(ならさき・りゅういち)」
「はい?」
「相手の名前だよ。同じクラスの奴」

なにやら真剣な表情で私を見上げ、はっきりと訴えかけてきました。殺意さえにじみでているようです。

「ふぅん。で、何されたの、その楢崎くんに?」

そう尋ねると、江村くんは急に顔を赤くして目を伏せてしまいました。

「ここが一番肝心なんだけどね。正直に話してくれないと、「治療」なんてできないよ」
「オナラを…」
「ん?」
「お、俺がオナラしたの、笑いやがったんだ!みんなの前で!大声で!」

彼は机に拳を叩きつけると同時に立ち上がり、わなわなと震えながら叫びました。目には涙がにじんでいます。

「オナラ…ねぇ」

なんてくだらない。そんなことでここまで必死になれるなんて、いやはや若いってのは羨ましいですねぇ。思わずため息をもらすと、江村くんが聞きとがめて必死に訴えてきました。

「もともと嫌な奴だったんだ。バスケ部の期待の新人だかなんだか知らないけど、俺のこといつも見下して。トイレの個室で弁当食ってたら上から覗いて写真撮ってくるし、俺が咳したりするたびに『江村の声初めて聞いたー』とかはしゃぐし。何回初めて聞いてんだよ。…あんたに俺の気持ちがわかるかよ!」

なるほど、ボッチ対リア充の構図でしたか。ええ、痛いほどよくわかりますとも。俄然親近感が湧いてきましたよ。久しぶりに大声で怒鳴って落ち着いたのか、江村君はコーヒーをすすりながら、静かに話を続けました。

「だから、俺、もともとクラスであまりしゃべる方でもないし、一部の女子からはクールで凛々しいとか言われてるみたいなんだけど、楢崎の奴、それが気に食わないみたいでさ。今日の自習の時間、俺朝から体調悪くて、つい屁が漏れちゃったんだ。人間だしオナラくらいするだろ?しかも、すごい小さな音だったんだ。それを隣の席のあいつが聞いてて、『江村が屁ぇこいたー』って大声で…」

相手の方もおよそ高校生とは思えない幼稚さだなぁ…と呆れながら聞いていたのですが、彼の心の傷は相当に深いようです。さすがに医者として見過ごすことはできませんでした。

「わかりました。大体見当はつきましたが、ズバリ伺いましょう。あなたはいったい、何がお望みなんです?」

彼の目を覗き込んで問うと、江村君は一呼吸おいて答えたのです。

「楢崎に、屁をこかせてやりたい。人生を終わらせるほど、盛大に」

 

 

 

翌日、私は出張診療の名目で、江村くんの街へ出かけました。
まずは普段の彼らの様子を見てみたいので、江村くんに小型カメラを持たせて、校門前に止めた車のモニターからその光景を眺めることにしました。
江村くんが教室に入るなり、数人の男子が彼を取り囲み、馬鹿にするように声をかけます。

「よう屁村、きょうはちゃんと出すもん出してから来たのかー?オナラならまぁ臭いだけだからまだいいけど、ウンコ漏らされでもしたらこっちがたまんねぇからなぁ」

江村くんの肩を叩きながら、白い歯を見せてからかうイケメン君…こいつが楢崎だな。地毛なのでしょうが、少し茶色がかった明るい髪…耳をはっきり出したフサフサの長い横髪が特徴的です。目はくりくりと大きく、体格も細身ながらたくましい、いかにもモテそうなスポーツマンといった風体です。思わぬ良質な獲物に、私もわくわくしてきました。

「お前、大人しそうな顔してすっげーオナラ臭いのな。俺、あまりの悪臭にまだ気分が悪いんだけど、これって傷害罪かなんかじゃねぇの?」

楢崎は大げさに鼻をつまみながら、わざと大きな声で嫌味を言いますが、江村くんは何も言わずに席に着いたようです。なるほど、私に対してはあんなに饒舌でしたが、クラスでは本当に無口な子のようです。まぁそんなキャラが屁をこいたんじゃカッコ悪いわな。
楢崎が取り巻きと一緒にケタケタと笑っているところへ、教師が入ってきたようで、その場はそれで収まりました。…と、思ったのですが…

「ん?おい江村、お前だけ課題出てないぞ?早く出しなさい」
あらあら、どうやら私の街に来たりしてたせいで、宿題をすっぽかしてしまっていたようです。
「お前らしくもないな、どうしたんだ」

教師は怒るでもなく、目を丸くして心配そうに尋ねました。江村くんはよっぽど成績優秀なのでしょう。

「怒らないでやってください先生。江村くん、昨日体調悪かったみたいですし。なぁ、腹が痛くて課題どころじゃなかったんだよね?」

周りの生徒がクスクスと笑いますが、先生は何も知りません。得心したようにうなずくと、明日持って来いよとだけ言って、授業を始めました。楢崎の奴も、教師受けはいいようですね。猫をかぶった狼ですか。実に気にくわない。私は江村くんの依頼を正式に引き受けることにしました。

放課後、楢崎が江村くんの肩を掴んで、低い声で言いました。

「おい屁村、さっき俺が助けてやったんだからさ。礼くらいしてくれるよなぁ?俺は優しいから、そうだなぁ、諭吉一枚で手ぇ打ってやるよ」

ちっ、なんてクソガキだ。私ら大人が一万稼ぐのにどれだけ苦労してると思ってやがるんでしょう。しかしさすがは江村くん、奴の誘いをうまく利用してくれました。

「……わかったよ。見られるとお互いマズいから、プール横のトイレで待ってる。今の時期、誰もいないだろうから」

私への合図、ですか。では、お仕事を始めるとしましょうかね。私はモニターを消して車から降り、例のトイレへと向かいました。

 

「あ、来た」
「は?誰?もしかして江村のおとーさん?」

私がトイレに入ると、既に少年2人は到着していたようで、楢崎は私を不審そうにねめつけてきました。それにしても、お父さんは酷いなぁ。

「うーん、お兄さん、てのはどうかな、ヨシヤ」
「もういいよそんなの。お願いします、先生」
「先生?こんな先生いたか?」

部活に行く前なのでしょう、楢崎は赤いタンクトップのユニフォーム姿になっていました。うぅん、そういえば生の高校生とふれあうのも久しぶりですし、なんか和むなぁ。こんなかわいい子が……。

「いや、やっぱ違うな。誰だよオッサン?そんな貧相な体じゃ、警察ってこともないよな」

……滑稽なおもちゃになるんだから。

「なぁに、ただの医者だよ。おや、大変だ。キミ、お腹が痛いんじゃないかい?」
「はぁ?何言ってんの?」
「いやいやいや、そうに違いない!大変だ大変、あまり我慢すると、大変なことになっちゃうよ!救急車呼ぼうか?」
「え?やめろって、何なの?かなりウザ…え…?」

ギュウ~ グルルルルルル………。

「嘘だろ…そんな、なんで急に…うあっ」

楢崎は腹を抱えて屈みこんでしまいました。ざまぁないね。

これが私の特技……「逆治療」って便宜的に呼んでますがね。精神医学やら東洋医学でたまに使う「病は気から」っていう発想を逆手にとって、強い暗示をかけることで相手を病気にしたり、軽い催眠状態にかけたりするものです。医学部にいながら医学そっちのけで、心理学と魔術と錬金術に悪魔学、それから演技をひたすら学んだかいがあって、この医者としては禁忌ともいえる技を身に着けることができたのですが、今じゃこれを裏の仕事に使って本業以上に稼いでいる始末。ついたあだ名がドクター・外道。……私とコト―さんに謝れ。

「うっ、ちくしょ、漏れる……」

楢崎は腹を押さえながらのそのそと立ち上がり、個室へ向かおうとしますが、そうはさせません。

「あらっ、脚がっ!脚が震えてますよ楢崎くんっ!大丈夫ですか?立てますか?」
「ああっ!?なんだこれぇっ!?ひっ」

突然楢崎の膝がガクガクと震え出し、彼は再びその場にうずくまってしまいました。

「はは、すごい…すごいよ先生」

江村くんが楢崎を見下し、歓喜に口端をつりあげながら興奮気味に言いました。

「でも先生、ここじゃ、意味ないんだ。もっと人が大勢いるところでぶっコかさなきゃ、復讐にならない」
「わかってますよ。まぁ、見ててください」

私は楢崎のそばに屈みこんで、囁くように言いました。

「いいかい楢崎くん?命にかかわることだから、よーく聞いてね。キミはガスのためすぎで、オナラをしなきゃちょっとまずいことになる。でもね、それには江村くんの協力がいるんだよ。彼が指パッチンしたときだけ、キミは屁がこけるんだ。だってそういう体質なんだもの。そうでしょ?そうなんだよきっと」
「うう……なんだよ……腹が重い……なんとかしろよっ……」

さぁて、そろそろガスも溜まり始めたことでしょう。昼食をとってから彼は大便をしていないはずです。暗示で屁を出させることも可能でしょう。

「ものは試しだ、江村くん、やってみなよ」
「うん、わかった」

パチン

江村くんが指をならしたその瞬間。

バフッ プゥウウウウゥ~

楢崎の尻から、下品な爆音と、間抜けな高い音が飛び出しました。途端に悪臭が立ちこめます。

「あっはははははは!俺のよりずっと下品な音で、ずっと臭いじゃいか!このオナラ崎!」

江村くんは腹を抱えて笑いながら、うずくまる楢崎を蹴飛ばしました。

「うがあっ……。くぅ……江村ァ!テメェ俺にこんなことしてただで」ブボォッ

江村くんの指パッチンによる自身の屁音で、楢崎は赤面して黙り込んでしまいました。笑い転げる江村くんを尻目に、私は再び楢崎の耳に口を寄せました。

「どうだい?たまったものを吐き出すのは気持ちいだろう?オナラをするのは最高に気持ちいし、もちろん精液も、ウンコもだ。なにもかもぶちまけたくて仕方ないだろう?」
「うああ…なんで、なんでだよおっ!?」

見下していた江村くんに笑われながら、楢崎の股間は見事にテントを張っていました。
ユニフォームのズボンの中心に、黒い染みが広がっています。

「ほら、さらけ出すんだよ全て、気持ちいいよ。というか、そうじゃないとホンッと危険だから、いろいろ」

「うっ、うわああああああああ~っ!!」

絶叫とともに、楢崎はパンツごとズボンを脱ぎ去り、屈みこんだままガニマタになって必死にセンズリをこきはじめました。

「うわ、キモッ。なに人前で盛ってんのコイツ」パチン
ブウッ

「んほぉっ!?オナラっ、オナラ気持ち良すぎ…なんだよ、おれ、どうしちゃったんだよぉっ!」ブボッ プウッ~「ひいいい~ッ!」ブピィ~

泣きながら屁を漏らし、ペニスを扱き続ける楢崎はマヌケ以外のなんでもありません。窓を閉め切ったトイレの中には楢崎の屁臭が充満し、吐き気を催すほどです。卑猥な水音が最高潮になり、楢崎が鼻水をぶら下げてアヘ顔を晒し始めたあたりで、私は江村くんに指をならさないように命じました。

「ははは、楢崎くん、もう絶頂かな。でもオナラマニアの楢崎くんは、オナラをこかないと射精できないんだよねー、お可哀想に」

「しょんな、くるひっ、くるひい、だひたいよおっ!」
「何を出したいのかな。江村くんにお願いしてみなよ」

江村くんは汚物を見る目で楢崎を見下ろしていました。楢崎は黒ずんだペニスを必死にしごきながら、彼の顔を見上げ、ついに懇願してしまいました。

「えむらぁっ!バカにして悪かった、だから、だから出させて!オナラとザーメン、出させてくれぇっ!頼むっ!!」

江村くんは思わず噴き出したものの、すぐ無表情に戻って

「なに、その態度?江村様、だろ?だいたい、なんで敬語じゃないのさ。それに、キミみたいなド変態は、もっと下品な言葉遣いじゃないとダメだろ」

ゲシッと、江村くんは楢崎の頭を踏みつけました。

「ひいいいぃ~!!ずびばべんっ!屁コキ虫のくせに、調子コキまくってごべんなひゃいいいっ!えっ、江村しゃまあっ!どうか、この変態オナラ崎にっ、ブーブー屁をこかせて、ビュービュー射精させてくらひゃいいっ!!」

頭を踏まれて土下座しながら無様に喚きます。あれ?おかしいな。ここまで変態にしたつもりはないんだけど…ひょっとして真正マゾってやつかな。うわぁ、引いちゃうなぁ…。ですが、江村くんはというとノリノリのようです。

「はははっ!このゴミ虫が!お前にはそうやって這いつくばってんのがお似合いだよ!いいだろう、全てまき散らせ!俺に、お前の痴態を全て晒してみろ!!」

パチンッ

ブウウウウウウッ~ ブボボボボッ プウゥゥウー

「おぎゃあああああああ~っ!!?ふげっ、えひっ、おっ、オヘエェェェェェ~!!!」

ブルピュピュピュピュピュ~

盛大なオナラの連射とともに、楢崎のペニスから噴水のように精液が噴射し、彼自身の頭やタンクトップに降りかかります。その顔は見るもおぞましく、白目を剥いて舌を突出し、気の狂ったような笑顔で涎鼻水をまき散らしていました。しかし、それだけでは終わらず……

プシャアアアアアアアッ  ブリブリブリブリッ ブブウッ

潮吹きかと見まがうほど盛大に尿をまき散らしながら、尻からは濃い茶色のぶっとい一本糞をひり出しやがったのです。私はもう、見るにも聞くにも嗅ぐにも耐え切れなくなりまして、汚物塗れの少年と、それを見下ろして盛大に高笑いする狂気の少年を残して、さっさとトイレを退散することにしました。
トイレから出て扉を閉めたとき、その向こうからカメラのシャッター音と、江村くんの嬉しそうな声が聞こえてきました。

「ふふっ、まだだよ、復讐はこれからだ。お前の人生、俺が終わらせてやる。くくっ、ケツだけ拭いたらズボン履いて、そのままの姿で部活行けよ」

ああ、楽しそうでなにより。でも江村くん、ひとつ大事なこと忘れてないかな。まあいいや、とりあえず、明日もカメラで様子を見させてもらおう。

 

 

 

翌日。

教室では朝から、プール横のトイレの汚物事件の話題で持ちきりでした。何者かが便器でもない床に、盛大に糞尿をまき散らしていたというので、タチの悪い悪戯だと教員達がえらくご立腹なさってるとのことでした。さて、その犯人はというと、昨日とはうってかわって大人しく席に座り、呆然としています。そして、昨日は楢崎と一緒になって江村くんをいじっていた連中の会話が、スピーカー越しに聞こえてきます。

「なぁ、楢崎の奴、なんか臭くね?」
「まさかとは思うんだけどさ、あの髪の毛で固まってカピカピになってる白いのって……」

そこで教師が入ってきて、会話は途切れてしまいました。
江村くんが風呂に入らないように命じたんでしょうが…どう考えても昨日の私の暗示にはそこまでの効力はないはずです。もちろん楢崎が想像を絶する真正マゾだったのもひとつでしょうが、さては江村くんめ……。

「ん?おい、楢崎。お前だけ課題出てないぞ。早く出しなさい」

昨日と同じ教師が指摘すると、自然とクラス中の視線が楢崎に集まります。楢崎は慌てて立ち上がり、

「あ、はい、すいません、俺、昨日調子悪くて……」
「んん?昨日の今日だぞ。お前が嘘をつくとは思えんが……江村のがうつったのかな?」
「えと……」

楢崎がカメラの方、つまり、江村くんにそっと視線をやります。この時、江村くんはどんな顔をしていたのでしょうか。きっと、ケダモノのような笑顔だったことでしょう。

パチン

どこかでそんな音がしたかと思うと……

「あっ、ダメ、出るっ!」

ブウウウウウウウウウウウウウウッ

ついに楢崎は、クラス全員の前で盛大にオナラをぶちまけました。それも一人だけ立ち上がり、皆の注目を浴びたその状態で。真っ赤な顔でうつむく楢崎を挟んで、嘲笑が飛び交います。すぐに楢崎の取り巻きの一人が大声で

「楢崎の奴、屁ぇこきやがったぁ!」

と叫び、女子からは

「うそおぉ!」
「やだぁ、幻滅~!」

と悲鳴が上がります。やれやれ、最近の高校生は本当にガキのままですねぇ。

「おい、やめんか、授業中だぞ!」

教師が一喝したおかげでようやく教室は静かになりました。普段の楢崎なら万一屁をかましたとしても、おそらく「ごめーん、屁ぇこいちった」とでも笑い飛ばして終わらせたことでしょうが、オナラに性的興奮を覚えるようになった今、当然それもできません。さらに江村くんがとんでもない鬼畜野郎だったせいで……。

ブボォ ボフッ ブビィィィ

絶え間なく繰り返される放屁に、教室は阿鼻叫喚の地獄絵図となりました。教師は大声で生徒たちを怒鳴りながら、率先して教室中の窓を開けて換気に余念がありません。
しかし、地獄と思われたこの状況も、まだ序の口だったのです。江村くんがポンっと両手を叩く音が響いたかと思うと、突然楢崎が机に登り出し……。

「み、みんなっ!隠しててごめん!実は俺、変態なんだ!!」

そう言いながら、なんと教室のド真ん中でペニスを晒け出し、脱糞しながらオナニーを始めてしまったのです。机の上にこんもりとできあがっていく糞の山、響き渡るオナラと悲鳴、楢崎の気の狂ったアヘ顔……。

本当の地獄絵図を見せつけられて、私は怒りを抑えられなくなってきました。間違いない、これは楢崎の処刑であると同時に、私に対する挑戦だ。
江村の奴め……、どうやら決着をつけなければいけないようですねぇ……。

 

 

その日の放課後、中庭の隅で、私は江村くんと落ち合いました。

「やぁ先生、どうだった?なかなか楽しめたでしょ」
「やれやれ、一本取られましたよ。一体どうやって身に着けたんです?『逆治療』を」
「見よう見まねだよ。先生のマネしてみたら、案外簡単にできちゃって。楽しいね、これ。次はだれにどんなことしてやろうかな」

ふざけるな。私が青春の全てを費やして手に入れた力だ。そう易々と盗まれてたまりますか。いや、それよりもまず、確認しておかねばならないことがありました。

「江村くん、当然、わかってるとは思うけどね。私も慈善家じゃないもんだから、キミに協力したのも、れっきとしたビジネスなわけだよ」
「ああ、報酬の話?」

口元に笑みを浮かべながら、江村くんは勝ち誇ったように続けました。

「知ってるよ。現金数千万、払えない人は体で、だよね。おじさん老若男女を問わないツワモノなんだってね。最初は覚悟してたけどね、もう俺はあんたに縛られる必要もないのさ。そうだろう?俺は世界で一番尊い人間なんだ。誰も俺の言うことには逆らえない、たとえあんただろうとね!」

……ふん、奇遇ですね。こっちも気が変わったところです。お前みたいなクソガキを抱くなんて、こっちから願い下げですよ。体で……というより、その人生で償ってもらいましょうかね。

 

 

 

 

さらに翌日

清々しい晴れた空。絶好の休日日和ですねぇ。私は休診日を謳歌すべく、隣の県までやってきて公園のベンチで羽を伸ばしていました。今日は特に用事もないので、ちょっとしたショーでも見せてもらおうと思っているのですが…そろそろですね。
家族連れや学生でにぎわう割と大きな森林公園。その真ん中の野外ステージに、2人の少年が上がっていきました。

「みなさん、聞いてください!」

茶髪交じりの快活そうな少年が皆の注目を集め

「俺たち、実は…」

一見暗めの、黒髪の美少年がそれを受けます。そして2人で声を合わせ、

「オナラで感じる、ド変態高校生なんです!!」

叫ぶと同時に服を脱ぎ捨てると、周囲から悲鳴が上がりました。2人はまるで気にする様子もなく、観衆にむけて2人で

ブスゥ  ププッ

とオナラで挨拶すると、

「○○高校1年2組、オナラ崎龍一です!趣味は、オナラとオナニーです!」ブウッ
「○○高校1年2組、屁村義哉です!趣味は、オナラとオナニーです!」プスゥー

一人ずつ、尻を掲げて挨拶しました。誰も突っ込まないので、仕方ないから私が

「おいおい、キャラかぶってるぞー!」

と、空いたビール缶を投げつけてやります。頭に反射してうまいこと両方に当たりました。やったね。

「あっ、出る!特大の屁が出るぜ、屁村ァ!」
「もったいない!嗅がせろ!」

オナラ崎がケツを掲げて四つん這いになると、屁村がその尻の間に鼻を突っ込みました。

「いくぜ!3、2、1、シュート!!」

ブボオッ

「うがああああああああっっ!!!」

爆音とともに、屁村がぐるんと白目を剥きました。鼻の穴に直接屁をぶち込んだんだから当然でしょう。オナラ崎が尻を上げると、屁村の顔の全景が露わになりました。

「うげっ、あいつでもあんな顔するのか」

私は思わず呟いていました。相棒の屁を思う存分吸い込んで恍惚とする屁村。よほどしみるのか、剥き切った白目から涙が溢れ(相変わらず片目しか見えませんが)、限界まで広がってピクピク蠢く鼻の穴からはねっとりとした鼻水が流れ、犬のように突き出した舌から涎が糸を引いて伸びています。そしてその顔のままペニスをしごき、尻からはプスプスと屁をこいています。そしてその尻に、今度はオナラ崎が鼻をつっこみ、アホ面晒してオナり始めました。
それぞれ一度目の射精を済ますと、本格的にショーが始まりました。オナラ崎が尻にピンポン玉を詰め込み、屁で飛ばしたところを屁村が口で受け止めたり、あるいは、屁村が尻にマイクを当て、オナラの伴奏を奏でるのに合わせてオナラ崎が熱唱したりと、それはもうやりたい放題でした。
その間、公園のあちらこちらからカメラのシャッター音や悲鳴、罵声があがり、

「早く警察を呼べ―」

といった怒鳴り声も聞こえます。私はそんなギャラリーの反応も含めたこの盛大で滑稽なショーを、一人優雅に眺めていました。

「じゃあ次は、2人でおなら体操を踊ります!」

おいそれはまずいだろう。いろんな人に謝れ。まぁあまり深くは言えませんが、馬鹿な少年2人は屁をこきながら愉快な体操を踊りきると、最後に得意の脱糞オナニーを始めました。

「いひぃぃぃぃ!人前でウンコしながらオナニーサイコおぉっ!!」
「んほおおおおおおおおっ!!地味で目立たなかった俺が、こんな大勢にウンコまで見られてるぅー!もっと見て!嗅いで!バカにしてぇ!!!」

男らしい長い一本糞でとぐろを巻くオナラ崎の横で、屁村は黄土色のビチ糞をブリブリとぶちまけていました。自分の脚にまでそれが飛ぶと、小便で洗い流します。昨日の挑発的な態度はどこへやら、立派な変態に成り果てていました。
馬鹿な奴だ。せっかく素養があったのに、この私を裏切ろうとするからこんなことになる。まぁいいでしょう。代わりにこうして楽しめました。私にとっちゃ一時の暇つぶしに過ぎませんが、お前にとっちゃ人生に幕を下ろすショーだ。

パトカーのサイレンが聞こえてきました。そろそろ私は退散するとしましょうかね。

「ひぃいいいいいいー!オナラサイコ~!!」

ふ哀れな少年たちの断末魔を聞きながら、私は駅までぶらぶら歩いていきました。

さぁて皆さん、こんな私ですが、治療してほしい悪性因子があれば、どうぞ訪ねてきてください。ただし、ご利用は計画的に。

~fin~

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