※『Dr.ゲドーと男根信仰(中)』の続きです。
無情な恐喝屋、二崎が醜いブタに成り下がってから数日。
京都の珍宝寺に泊まり込んでいた私は、珍念和尚とともにパソコンの画面を覗きこんでいました。悪徳企業や暴力団などが裏の社交場として使っているサーバー。その中の、瀬奈春哉の個人ブログです。
「よくもまぁ、こんな物騒なサイト見つけはりましたな」
「ちょっと警視庁のサイバー係に知り合いがいましてね。警察もしたたかな連中ですから、こういうサイトの存在に気づいていてもすぐには介入せずに泳がせてるようでして。まぁ瀬奈達もそれを知りながら堂々と使ってるんでしょうが」
「なんや面倒な世界やなぁ」
瀬奈のブログには、彼の近況が写真付きで公開されていました。
「おっ。どうやらあのプレゼント、随分と気に入ってくれたようですね。これはなにより」
最新の記事のタイトルは「ペットでお花見」。
「季節外れだしもう夜だけど、部屋の中でお花見をしました。アンドレイも大喜びのようです」
という和やかな文章とともに、写真が掲載されています。
自分で持ったカメラに笑顔でピースを向ける瀬奈。その後ろでは、全裸に黒いネクタイをつけた男が中腰でかがみこみ、両手でピースサインを作っています。小さなぺニスがまっすぐ上を向いていますが、顔も上を向いていて表情はよくわかりません。そして鼻フックで広げられた鼻の穴には、色とりどりの趣味の悪い花々がびっしりと生けこまれていました。
「えげつないことしよるなぁ」
和尚が顔をしかめながら軽蔑するように言いますが、多分この方に言えた義理じゃないですね。それはともかく、ブログを遡って読み進めてみると、どうやらブタ崎が届いた直後から彼の醜態を上げ続けているようです。全国でも指折りの恐喝屋を完全に飼いならしたと触れ回って、自分の恐ろしさをアピールするつもりでしょう。思惑通り、コメント欄には複数の団体が恭順の意を表明しています。
「瀬奈の小倅め、まるで自分が調教したみたいに自慢しよって」
「まあまあ、別にいいじゃないですか。相当喜んでくれたようで、しばらく自分の部屋で飼うとまで書いてますよ。裸ネクタイも気に入ってくれたようですし。くく」
私が満足げに微笑んでいると、和尚は少し真面目な顔になってそろりと尋ねてきました。
「ところでセンセ。一週間以内って呼び出しましたけど、瀬奈の奴、いつごろやって来るでしょうな」
「大企業の社長ですからね。スケジュールの調整もあるでしょうから、すぐには無理でしょう。最低でも2、3日はかかるんじゃないですか?」
「せやけど大丈夫なんどすか? あんなもん見せつけたら向こうだって警戒しますやろ。不意を突くならともかく、手の内読まれとったら催眠なんて通用せんのとちゃいます?」
不安そうな和尚に、私は自信満々に答えました。
「なに、心配は無用ですよ。神仏は我々の味方なんでしょう?」
5日後の昼下がり、客間で寝ていた私は和尚に揺り起こされて境内に出ました。瀬奈からまもなく到着すると連絡があったというのです。
「なんやセンセ、えろう眠たそうですなぁ。毎日夜更かししてはったみたいやけど、何してはったんどす?」
「ま、ちょっといろいろね。思いのほかうまくいってるんで、ちょっと張り切りすぎちゃいました」
「はぁ」
目を擦りながら境内の中央まで進むと、ちょうど石段を登りきった瀬奈一行の姿が見えました。
「やあ、わざわざ出迎えてくれるなんて、嬉しいなぁ」
瀬奈が大げさに手を振りながら、軽い足取りで近づいて来ます。その後ろから、薄いスーツを着た数人の若い男と、屈強なガードマンらしき男達が現れました。少人数ではありますが、前回と比べると社員の身なりも護衛の体格も格段によくなっています。おそらくグループの幹部と腕利きのボディーガードでしょう。瀬奈の奴、今日ここで決着をつけるつもりですね。
「遅くなってごめんね。まさかこっちから出向く羽目になるなんて思わなかったからさ」
瀬奈は脅迫されて呼び出されたとはまるで思えない明るい調子で和尚に言い、それから私に向き直り、
「ああ先生。ちゃんと挨拶が済んでなかったね。知ってると思うけど、僕はシュン・ホールディングスのCEOで瀬奈春哉。敬語は苦手だけど、まぁ、それは愛嬌ってことで。今後とも、よろしくね」
傍らにいた秘書らしき男に合図して、名刺を渡させました。
「それから、この間は素敵なプレゼントをありがとう。とても気に入ったよ」
「それは良かった。喜んでもらえなかったらどうしようかと思ってたんだ」
無邪気な笑顔を浮かべて手を差し伸べてきた瀬奈と握手を交わしながら背後を伺うと、ガードマンたちが懐に手を当てて鋭い目つきで私を凝視していました。どうやらここにいる連中は皆私の正体を知っているようですね。
「相当警戒されてますな。どないしましょか」
瀬奈から離れると、和尚が不安げに耳打ちしてきました。そんな様子に目ざとく気付いたのか、瀬奈がオーバーに肩をすくめてみせます。
「そうそう、先に言っておくけど、俺を脅迫しようなんて無理だから。前も言ったけど、警察も政府も、俺と親父が強く言ったらどうとでも動かせるし。それにさ、例えばだけど、何か不幸があって今日君たちが死んじゃうとするでしょ。その上この寺も火事で壊滅なんてことになったら、証人も証拠もなくなっちゃうよねー」
「こいつ」
さすがの和尚も血相を変えてわなわなと震え出しますが、私はそれを片手で制して、瀬奈の方に向き直りました。
「やけに物騒なこというんだね」
「はは、やだなぁオジサン。冗談だってば。俺だって殺人なんて恐ろしくってできないよ。だからさ」
瀬奈は両手を広げて笑ってみせると、後ろにいた秘書から書類を受け取り、
「リゾート開発はやっぱナシ。この珍宝寺、うちの菩提寺になってくれない? 」
「は?」
これには和尚も私も驚きを隠せませんでした。
「お互い弱みがあるわけだからさ、この際いっそ協力できないかと考えたんだよね。最近お寺とか神社って結構流行ってるじゃん? 会社ぐるみでこの寺に帰依して、社葬その他の仏事を全部この寺にお願いしたいんだ。不謹慎にならない程度に、おチンポ様もアピールしてさ。意外と受けて会社のいい宣伝になるんじゃないかと思うんだよね。そしたら寺の宣伝にもなって一石二鳥! 互いの秘密も守られて、いいことずくめじゃない? あ、これ契約書ね。目を通してくれる?」
瀬奈はそばに立った男根型の石塔の先端を、ニコニコしながら撫でています。書類を手渡された和尚はあっけにとられた様子で目を通してから、軽く首を捻りました。
「なんか腑に落ちまへんな。話がうますぎる」
「精一杯の譲歩だよ。手荒な真似はしたくなかったからさ。……なーんて。めんどくさいからもう本音も言っちゃうけど、ひとつ条件というか、お願いがあるんだ」
そう言うと瀬奈は私の方に目を上げ、
「そこの人……。あのゲドー先生だよね。貴方に、俺の顧問になってもらいたいんだ。もちろん、報酬はたっぷり出すよ」
はん、そういうことですか。私も和尚もひっくるめて取り込んで、自分のために利用する。確かに、荒事で潰してしまうよりずっといい手ですね。私の力を悪用すれば、使い道はいくらでもあるでしょうし。もちろん私や和尚にとっても悪い話じゃない。ですが……。
「残念だけど、お断りだね」
「せ、センセ、少し考えてみてもええんとちゃいます?」
「騙されちゃいけませんよ和尚。あいつは我々を手駒にして自分の悪事に利用したいだけです。用済みになったら何されるかわかったもんじゃない」
「せ、せやけど」
「それにですね」
コホンと咳払いして、私は瀬奈を指さして声を張り上げました。
「こんなクソガキのいいように使われるなんざ、プライドが許さないんですよ!」
瀬奈の眉がピクリと吊り上がり、周りの連中から殺気が込み上げます。ですが和尚はしばらく考えたあと、一人で何度か頷き、
「せやな。その通りや。今までさんざコケにされてきたんや。利益につられて水に流すやなんて、男がすたるわい!」
「ふぅん、そういう態度取るんだ」
瀬奈が口元だけで冷たく笑います。和尚は私の肩に手をかけて、
「勝算があるんどすな? こうなりゃあんたを信じますえ」
「お任せください。後悔はさせませんよ」
不意に物音がしてそちらを向くと、瀬奈が足元の土を蹴り上げたようでした。
「あーあ、だから馬鹿は嫌なんだよな。こんな単純な損得勘定もできないなんて」
さっきまでの無邪気さはどこへやら、冷たい目つきで蔑むように見下してきます。
「言っとくけどさ、催眠になんてかからないよ。警察の調書とか調べたけど、あんたはいつも不意を狙ってるんだろ。こっちは変な言葉に惑わされないよう細心の注意を払ってるんだ。それにこの人数を一度に操れるような、そんな魔法じみた能力じゃないことも見当がついてるんだよ」
「ありゃあ、そりゃ参ったな。じゃあちょっとあっちの境内で、和尚と3人でチンポの話でもしない?」
「チンポの?それなら構わないけど」
「……は?」
和尚が目を丸くして瀬奈と私を見比べます。同じように茫然としていた瀬奈の部下の1人が、我に返ったように叫びました。
「だ、だめです社長! 一人になるのは危険です!」
「は? お前、誰に向かってそんな口利いてんだよ」
瀬奈は凄まじい目つきでその忠臣のもとに歩み寄り、容赦なく蹴り飛ばしました。
「俺があんなジジイどもに捕まるとでも思ってんの? 警戒さえしてりゃ催眠になんてかかるわけがないだろ俺を舐めてんのか?」
瀬奈本人にここまで言われては、部下たちはもはや何も言えないようでした。私は口元がニヤつくのを抑えて真顔を保ち、和尚と瀬奈を連れて境内に向かいました。
「で? チンポの話って何? つまらない話だったら、外にいる部下を呼ぶからな。ああ、力ずくで縛り上げようっていうならやめといたほうがいいよ。こう見えて柔道黒帯だから」
「な、なあセンセ、これは一体どないなってまんのや?」
本尊が無くがらんとした境内で瀬奈と向かい合って正座すると、横から和尚が小声で尋ねてきました。
「実はね和尚、もう仕込みは終わってるんですよ」
「いつの間に? そんな隙はなかったやないですか」
「ねえ、俺は蚊帳の外? 呼び出しといてそりゃないんじゃないの?」
瀬奈が拗ねたように口を挟んできました。
「ああゴメンゴメン。でも君はチンポが大好きなんでしょ?」
「そりゃ好きだけどさ、話をそらさないでよ」
「すぐ終わるから、自分のチンポでも見て待っててくれる?」
チッと舌打ちしてから、瀬奈はくるりと後ろを向きました。間もなく、チャックを下ろす音が響きます。私は思わず吹き出しましたが、和尚はますますわけがわからないといった様子です。私は和尚の耳に口をよせ、瀬奈に聞こえないように種を明かしました。
「そもそも私の逆治療は相手に思い込みを与えて感覚を刺激する、要は精神に働きかけて肉体の方に作用するものですから、精神そのものを操るのは難しいんですよね。『痛い』『かゆい』みたいな感覚を思い込むことがあっても、間違った嗜好や主義を思い込むなんて、一朝一夕でできることじゃない」
「せやったらなおのこと無理やないですか」
「でも時間をかけてじっくり訴えかければ、そういうこともできる。これはもう洗脳と言った方がいいかもしれませんがね。相手が正気を失ってたりするとやりやすいんですが、そうでなければ、例えば睡眠中で意識がはっきりしてない時。こういう状態を狙って、しつこく何度も言い聞かせて、相手に『自分はこういう人間だ』と思い込ませる。
もっと進めると、私の言う通りに振る舞うことが正しいと思い込ませて、暗示の通りに動かすこともできる。これで今まで何人もの変態にショーをさせてきました」
ここまで説明すると、和尚は思い当たったように目を見開きました。
「睡眠中……? もしかしてセンセ、あのブタに」
「そう、ブタ崎君のネクタイにね、スピーカーを仕込んでおいたんです。それからブタ崎に、毎晩側にいる人間が眠ったのを確認してから、スピーカーのスイッチを入れて相手の耳元にネクタイを近づけるよう暗示をかけておきました。後はスイッチが入るのを待って、こちらのマイクから毎晩呼びかけたんです。『あなたはペニスが大好きだ、ペニスの話なら警戒する必要もない』ってね。あまり複雑だと刷り込みにくいのでこれだけですが、5日もあれば効果はてきめんだったようですね」
はああ、と息を吐いて、和尚は瀬奈の方を伺いました。横顔がちらりとしか見えませんが、うっとりとした様子で己のペニスを眺めているようです。
「せやけど、ネクタイが外されたらどうするつもりやったんです?それに、途中で瀬奈が起きたりしたら」
「ネクタイがない場合は、ブタ崎自身がそう吹き込むように訓練しておきました。そうなると俄然効果は弱まってしまいますけどね。それに瀬奈が起きそうになったらすぐに寝たふりをするように言っておきましたから、そこはさすがに伝説の壊し屋、気付かれないよう抜かりなくやってくれましたよ」
「はあ、なるほど。まさか瀬奈も既に洗脳されてるとは思わんでしょうな」
「まあ、ブタ崎自体が部屋から出されたらまた手を打つ必要もあったんですがね。あんなおかしな人間を不用意に外に出したりしないとは思いましたが、まあ、そこは懸けでしたね。なんにせよ、うまく行って良かった。こうなりゃ後は本物のチンポ狂いにするだけです」
私は立ちあがって瀬奈のそばに寄り、声をかけました。
「待たせてごめんね。せっかくだから、君のチンポ見せてくれないかな」
「なんだ、結局俺のが見たいのか。それならそうと、初めから言えよ」
瀬奈は呆れたように吐き捨てると、体をこちらに向けて、チャックから飛び出したペニスを見せつけてきました。
「うおっ」
「な、なんやこら」
私は思わず声を上げました。童顔でさわやか好青年の瀬奈のペニスはてっきり二崎同様のポークビッツだと思っていたのですが……。
それはまだ勃起もしていないのに握り余りそうなくらいの巨根、それも自慰のし過ぎかセックスのし過ぎか、使い古されて真っ黒に変色し、皮も限界まで剥け切ってカリが飛び出している、左曲りのグロチンだったのです。
「こ……これはっ。見てるだけで臭ってきそうな……」
「いや、実際臭ってますやろ。それにしても可愛い顔してなんつう巨根や」
「はは、でかいだろ。高校の頃の女にグロいって言われてから誰にも見せたことないけど……って、あれ、じゃあ俺、今何で他人にチンポ見せて」
あ、やばい。
「なに言ってんのさ、人にチンポ見せるなんて、ごく当たり前じゃん。その女がトラウマになって臆病になりすぎなんじゃないの?」
「ん……? それもそう……かな?」
「ホラ、他人にチンポ見てもらうとなぜか肩こりまでよくなってくるでしょ」
「ああ、確かに。最近ろくに休んでなかったからね。悪いけど、もっと見れくれない?」
言いながら瀬奈は卵大の金玉まで引っ張り出し、座ったまま後ろに手をついて腰を突き出して来ました。私の隣で和尚が盛大に吹き出します。
「ねぇ、笑ってないでちゃんと見てよ」
「あ、ああ、すんまへん。プスッ、裏筋にホクロが」
「そういや瀬奈くんって、モデルのくせに水着取材とか受けないんだってね」
「どんな水着でも形が浮き出てくるからね。今思えば小さいことを気にしてた」
「そうそう。せっかく大きいんだから、見てもらえばいいのに」
「あ、褒めて油断させて操ろうって気なら諦めるんだね。俺はアンドレイみたいな馬鹿じゃないから」
股の間からグロチンをかざしながら勝ち誇ったように挑発してくる瀬奈に、和尚と私はまたしても盛大に吹き出してしまいました。どうせなので、馬鹿にされたりなじられたりすると気持ちよくなるように仕込んでおきます。
「ねぇ変態の瀬奈くん。キミほどのエリートなら当然知ってると思うけど、ペニスって見てもらうだけじゃなくて、擦ったりしゃぶったり、尻の穴に入れてもらったりするものなんだよ」
「し、知ってるに決まってるでしょ。俺を誰だと思ってんだよ」
「チンポ狂いのド変態糞ヤローだよね」
「わ、わかってるならアンタのでいいから舐めさせろよ」
「えー。変態の相手はちょっとなぁ。そういやこの寺には至る所にチンポが生えてるよね」
「あ、そう言えばそうだったね。年寄りには勿体ない寺だ」
「なんやと。チンポに囲まれて暮らすなんて寒気がするとかゆうとったくせに!」
「ふん、そうやって2人がかりで俺を洗脳しようとしてるんでしょ?その手にはかからないって言ってるんだ。俺がチンポに向かってそんな暴言、吐く訳がないだろ」
冷徹な策士の顔で平然と言ってのける瀬奈。言いながら仰向けにのけぞって、勃起しかかったペニスを両手で扱き始めています。ここまで来たらもう大丈夫でしょう。念のためさらに洗脳と調教を施してから、瀬奈に外に出るよう勧めてやりました。
「待たせたね」
瀬奈が顔を見せると、外でダラダラ待っていた部下達は一斉に居住まいを正し、頭を下げます。
「心配しなくとも、洗脳なんて俺には効かなかったよ」
「は、はい。当然です。社長があんな者どもにやり込められるなどと、考えても……」
答える部下が、急に言葉を詰まらせました。ほかの社員が訝しんで顔を上げ、一様にポカリと口を開けました。
びっしりと流行の夏服を着こなすイケメン社長。ですがそのズボンのチャックから、巨大なペニスが飛び出したままになっていたのです。
「しゃ、社長……。その、チャ、チャックが空いて……」
秘書が恐る恐る指摘しますが、瀬奈は不機嫌そうに顔をしかめるだけです。
「だったら何だよ」
「え、いや、その、み、見えて……」
「何が見えてるんだ」
秘書はさすがに言いよどんで目を伏せますが……。
「さっさと答えろよ、この愚図」
瀬奈に罵声と共に蹴りを浴びせられ、吹っ切れたように声を張り上げました。
「性器ですよ! チンポが丸見えだった言ってんです!」
叫んでから、秘書の顔が一気に青ざめました。冷酷怜悧な暴君相手に、今まで逆らったことなどなかったのでしょう。ほかの社員たちも一様に怯えた表情を浮かべて、固唾を飲んで見守っています。ところが……
「そうだよ能無し。やっと気付いたか。見せてやってんだよ、俺の巨根をな」
瀬奈は怒るどころか呆れた風に肩をすくめると、社会の窓から飛び出したペニスを掴んで、ブルブルと左右に振り回したのです。
秘書は何も言い返せずに口をあんぐりあけ、もっていたカバンを取り落しました。居並ぶ社員一同も茫然としています。私と和尚は肩を支え合って笑いをこらえるのに必死です。
「ははっ、感動して声も出ないか。まあそうだろうね。生まれも経歴も完璧な俺に、お前ら如きが勝てるわけないもんな。いいか、男の格ってのはな、チンポの大きさで決まってるんだ。俺がここまで成功できたのも全部、このビッグなチンポのおかげなんだよ」
ペニスをぶんぶん振りながら高説を始めるイケメン学生社長。どう見ても異常なのに、社員は一人として止めることができません。普段から力と恐怖でもって植えつけられた社長独裁の社是が、ここに至っても社員を縛り付けているのです。あーあ、今ならまだ一発ぶん殴れば我に返るかもしれないのにな。
「ふん、無能が。でもまあ、無能に見られるっていうのも一興か。あっ」
瀬奈は突然おもちゃを見つけた子供のような歓声を上げ、巨根をブラブラさせながら小走りで駈けていきました。向かった先には、男根型の石塔が林立しています。
「はは、チンポ! チンポがいっぱい!」
無邪気にはしゃぎながら大きな石のペニスにしがみつき、先端をベロリとゆっくり舐め上げました。石塔の亀頭の部分から、まるで先走りのように瀬奈の涎が流れていきます。
「んはっ! あっちにもチンポ! こっちにもチンポ!」
パッチリとした大きな目を凛凛と輝かせて、瀬奈は飛び跳ねるように石塔の林を飛び回っては、一本一本むしゃぶりつくように舐めまくっていきます。そのうち石塔を嘗め回しながら股間をそれに擦り付け、鼻息も荒く上下に腰を振り始めました。
「お、おい! 貴様! 社長になにしやがった!」
瀬奈のあまりの痴態にようやく事態を悟った秘書が、私にナイフを向けながら怒鳴りました。すると、
「おいクズ!! もう一度いってみろ! この俺が、あんな奴の催眠にかかってるってのか!」
石塔に激しく股間をすりつけながら、瀬奈が罵声を浴びせます。
「し、しっかりしてください社長! どう見ても操られてますよ!」
すると瀬奈はいきりたったペニスから先走りを滴らせながら鬼のような形相で秘書に歩み寄り、殴り倒して締め上げてしまいました。
「それ以上言ってみろ。首の骨、へし折ってやる」
秘書は悲鳴を上げてもがきますが、他の社員が近寄ろうにも瀬奈がナイフを片手に振り回してくるため、それもままなりません。窮した社員たちの何人かが再び私のもとに詰め寄ります。
「貴様! 早く止めろ!」
「おっと、私を傷つけない方がいいですよ。私が負傷すると、一生元に戻せなくなりますよ」
まあ嘘ですが。
そうこう言ってる間に、瀬奈は秘書のズボンとパンツを脱がせ、そのペニスをうまそうにしゃぶっていました。
「んぽっ、んぽっ、へっ、ちっこいチンコだな。だからお前は使えないんだよ。今日限りでクビな。むちゅ、ぶちゅちゅちゅっ。へへ、しょっぱいな」
さりげなく解雇勧告しておきながら口をタコのように尖らせてペニスをしゃぶり続ける瀬奈に、とうとう秘書がキレてしまいました。
「この……変態がァっ!!」
「ぶぎょおおおおっっ!!?」
怒号と共に瀬奈の腹を蹴り上げ、そのまま力いっぱい蹴り飛ばします。瀬奈は情けない悲鳴を上げて地面を転がりまわっていましたが、やがて、ゆるりと立ち上がると、おもむろにズボンとパンツを脱ぎ捨てました。
「あは、あははっ! そうだよ! 俺は変態だ! 今頃気付いたか馬鹿めが!!」
やーいやーいと言わんばかりにアカンベーをして尻をペチペチ叩き、また近くの石塔をしゃぶりはじめました。そして茫然と見ているしかない社員たちの前で、舐めしゃぶった石のペニスの上に跨りだしたのです。
「入らない! チンポ入らない! なぜだっ!?」
必死に尻たぶを広げて肛門をすりつけますが、そもそも物理的に入るわけがないので入りません。
「変態だ……」
わけのわからない言葉と大量の涎を振りまきながら石のペニスの上で腰を振る瀬奈の姿に、部下の一人がポツリと呟きました。
「……変態だ」
つられるようにして隣にいたボディーガードも呟き、やがて全員が茫然としながら「変態だ」「変態だ」と呟き始めました。
「ひぃいっははははっ!やればできるじゃないかクズども!もっと言え~っ!!」
瀬奈は汗だくになった薄い茶髪を振り乱しながら、大きなペニスをさらにムクムクと成長させていきます。そんな主に軽蔑しきった目線を送る社員たちに、私は優しく語りかけました。
「白状するとね、確かに私はちょっと催眠をかけたよ。ええかけましたとも! でもそんなの関係ないよね。要するに、アレを見て君たちがどう思うかって話で」
そんな私の言葉を聞いているのかいないのか、ボコボコにされた秘書が真っ先に口を開きました。
「あんな変態に、今までこき使われてきたのかよ」
その言葉には聞くだけで鳥肌が立つような凄みがこもっていました。おそらく瀬奈には散々酷い目に遭わされてきたのでしょう。秘書の一言を皮切りに、他の社員たちも口々に罵声を浴びせ始めました。
「いい気味じゃねえか! あのクズには自業自得だろ!」
「はは、イケメンモデルの天才社長さんがチンポコ振って踊ってら」
「っていうかなんだよあのグロチン! 臭いんだよボケ!」
「ひいいいぃいぃ! アヒッ! もっと! もっとなじって!」
堰を切ったように噴出する罵声に、瀬奈は体をくねらせて応えました。ダラダラと汗をかきながら、赤くなった顔に恍惚の笑みを浮かべています。
「うわぁ、ないわぁ。あれは、ないわぁ」
「同感ですよ和尚。でも彼らは違うかもしれませんからね。おーい、社員の皆さん、せっかくだから今までの恨み、体で味わってもらったらどうですか?」
社員たちは互いに頷き合うと、馬鹿みたいに踊り狂っている瀬奈を石塔から引きずり下ろし、地面に投げ捨てました。
「いいザマですね社長。どうですか今の気分は」
秘書が瀬奈のチンポを革靴で思い切り踏みつけながら尋ねると、
「んほぉっ、しゃ、しゃいこうれすぅ」
瀬奈はなぜかとろけた敬語で答えました。
「はん、踏まれて感じてやがるぜゴミが」
「じゃ、お望み通りチンポをくれてやるか」
「そこらの女より可愛い顔してやがるからな、テメーは命令するより喘いでる方が似合いなんだ……よっと!」
「ヒギィイイイイイイ!? ぐもっ」
男の一人がなんの容赦もなく瀬奈の尻を突き上げました。と同時に別の男が瀬奈の胸に座り込み、口にペニスをねじ込みます。
「おら、ちゃんと扱けや」
両手には別の男のペニスを握らされ、毛の繁る脇にもペニスを擦り付けられています。瀬奈は声にならない声を出しながら、完全に白目を剥き、必死で鼻の穴を広げて空気を取り込もうとしています。
「えー、じゃあ俺どこ犯せばいいんだよ。ああもう、ここでいっか」
あぶれた男が瀬奈の頭の方にかがみ込み、形のよい鼻のてっぺんに押し付けました。
「ンゴオオオオッ!!」
口が塞がっているため、穴を覆ってしまうのは危険と判断したのでしょう。男はペニスで瀬奈の鼻の上部を押し潰し、時折左右に動かして両穴の上端、鼻毛の生茂る辺りを突いて感触を楽しんでいます。
「ハハハ、いい顔ですねぇ社長。ブタそのものじゃないですか。鳴いてみてくださいよ」
一人輪に加わってなかった秘書が無様な瀬奈を見下ろし、蔑むように言いました。相変わらず白目を剥いたままの瀬奈は、塞がった口の代わりに鼻から返事を返します。
「んんっ……ゴッ! ブゴッ! ンゴォオッ!! ブウッ」
鼻から出る鳴き声は、ブタそのものでした。おまけに鼻水が噴出して、鼻と口を犯す男たちのペニスにまとわりつきます。
「ぎゃあ、汚えっ!」
「ふふふ、これじゃブタ以下だな。少しお仕置きが必要ですね」
秘書は冷たく笑うと、胸元からボールペンを取り出し、それを瀬奈の大きなペニス、その尿道の中にズブズブと埋め込んでいきました。
「ンゴッ!? ギョアェエエエエエーッ!?」
声にならない悲鳴を上げて瀬奈がもがこうとしますが、何人もの男に組み敷かれているため、その場でビクンビクンと痙攣するだけです。そそり立った大きなペニスにはペンが半分以上沈み込み、ブルブルと大きく前後します。
「はは、すげ。急にしまりが良くなったぜ」
「口の方もガタガタ動き出していい具合だ。おい、間違っても噛むなよ」
瀬奈はもはや意識があるのかどうかも怪しいですが、ペニスを握った両手だけは高速で動き続けています。
「よし、そろそろ出すぞ」
「ん、じゃあ俺も」
やがて尻に挿れていた男が小刻みに震え、口を犯していた男も精液をぶちまけました。瀬奈がひときわ大きく痙攣してから2人が立ち上がると、だらしなく開いた瀬奈の上下の口から、大量のザーメンが流れ出てきました。
「おっと、休むのはまだ早いぜ」
すかさず鼻姦していた男が瀬奈の豚鼻から直に精液を流し込みます。彼が立ちあがると、仕上げとばかりに手コキを受けていた2人が、瀬奈の全身にまんべんなく精液をふりかけました。全身を精液でカピカピと光らせながら、瀬奈は殺虫剤を浴びた虫のようにジタバタと手足を震わせていましたが、やがてピクリと動きを止めました。
「あべべべ…オブェ……ゲヒヒヒヒヒヒ」
その顔は凄まじいものでした。髪の毛まで精液が滴り、目からは涙、口からは涎と精液、鼻からも鼻水や精液を吹き出しているため、顔中汁まみれ。眉は八の字に垂れ下がり、大きな目をさらに大きくしてギョロッと白目を剥いています。口から飛び出した舌は空中で大きく反り返り、ゲヘゲヘと奇声を放っています。
そんな状態になっても、ペンが付きたったままの巨根は、大の字になった体の中心から勇ましく天を突いています。
「信じらんねぇ。あれがあの瀬奈春哉かよ」
「ブタというより、完全な汚物だな」
部下達の言うように、颯爽としていた悪魔のような美青年はもう見る影もなく、ブタ崎以上に醜く汚い何かに成り果てていました。私の隣で和尚が静かに合掌します。
「因果応報、諸行無常。お天道様はよう見てはるわ」
お天道様って仏じゃなくて太陽じゃなかったっけ?とか、くだらないことを考えていると、秘書が汚物と化した瀬奈のもとに歩み寄っていきました。
「すみませんね社長。途中から人間に見えなくなったんで、ついやりすぎてしまいました。せめてもの詫びに、射精させてあげましょう」
言いながら倒れた瀬奈のそばに片膝をつき、どこから取り出したのか黒いゴム手袋をはめた手で乱暴にペニスをしごき上げました。
「アヒイイイィィ!! いぎゅっ! おティンポいっちゃいまじゅうううううううっ!!」
見るに堪えないアへ顔を激しく振りながら、瀬奈が絶叫しました。同時に瀬奈の巨根がひときわ大きく震え、その先端からボールペンが勢いよく飛んでいきました。次の瞬間、大量の精液がまるで火山のように噴火し、1メートル近く吹き上がってから瀬奈の体に降り注いでいきました。秘書や社員たち、ついでに私と和尚は、そんな様子をケータイで撮影しています。
長い射精がようやく終わったかと思う間もなく、今度は黄色い液体が噴水のように吹き出し、高く弧を描いて瀬奈の顔面へと降り注ぎました。
「うわー汚ねえ。小便のシャワーかよ」
「どこまで恥知らずなんだよあのブタ」
「マジで自己嫌悪だわ。あんなのに頭下げてたのかよ」
「アへヘ……もっろ、もっろ言ってくらひゃぁい♪ シュンはぁ、変態の汚物なんれしゅうっ」
瀬奈は舌をベロベロと動かして、顔にかかった小便や精液を舐めとっています。
「さて、社員の皆さん。瀬奈春哉という男の本性はこれでよくわかったと思いますが、これからもこいつについて行く気ですか?」
私が尋ねると、社員たちは瀬奈に小石を投げながら、口々に言いました。
「冗談じゃねえ。そんなの、公衆便所の流し忘れの大便に忠誠を誓うようなもんじゃねえか」
「おかげで目が覚めました先生。こんなゴミに一生こき使われるところでした」
それを確認してから、私は瀬奈のそばにかがみ込んで、ゆっくりと語りかけました。
「いいかい瀬奈君、というか汚物君。もう誰も君についてくる気はないってさ」
「ひひひ、おチンポおチンポぉ」
「人の話はちゃんと聞きなさい」
木の枝で軽くペニスを打つと、瀬奈はキャンと奇声を上げ、その鼻から精液の鼻提灯が飛び出し、勢いよく割れました。その衝撃に、瀬奈ははっとしたように顔を上げます。
「はぁ、はぁ。ご、ごめん。あまりのおチンポに、正気を失いかけてた」
あまりのおチンポってなんだよ。まあ、「おチンポ大好きな変態糞野郎」としての正気は取り戻してくれたようですね。
「いいかい、キミはこの神聖なおチンポさまの聖域を土足で踏みにじり、男根信仰を不毛なものとして嘲笑った」
「そ、そんな! ち、違うよ、聞いてくれ! あれは何かの気の迷い……、そうだ! 誰かに催眠で操られていたんだよ!」
「言い訳しない! ちゃんと和尚に謝りなさい」
「は、はいィ!!」
瀬奈は弾かれたように飛び起きると、いろんな汁をしたたらせながら四つん這いで和尚の前まで進み、そこで勢いよく土下座をしました。
「も、申し訳ありませんでしたぁ! このゴミクズ以下のド変態、瀬奈春哉は、自分の身の程もわきまえず、おチンポ様にこの上ない無礼を! どうか! どうかお許しくださいぃ!」
汚物まみれの全裸の男が、地面に頭を打ち付けるように何度も土下座を繰り返す姿は、滑稽を通り過ぎて不気味ですらありました。和尚は鼻をつまみながら、面倒臭そうに返します。
「ああ、はいはい。もう逆らわんな」
「はひっ! もちろんです! なんでも!なんでもやらせて頂きますぅ!」
「あっそう。ほんなら、三回回ってワン」
言われるなり、瀬奈は四つん這いのまま猛スピードで駆け出し、広い境内を三週しました。それから和尚の前でチンチンのポーズを取り、ワンワンと鳴きわめきます。
「キャンキャン! これでいいワン?」
「ええい気色悪いわ、その語尾やめい! じゃあそこで、適当にダンスでも踊ってなはれ」
すると瀬奈は境内の中央で、全裸のまま何か最近の流行歌を振付つきで歌い始めました。でかいペニスがプルンプルンと揺れる様が滑稽ですが、ダンス自体は無駄にうまいのが腹立ちます。
日が陰ってきたとはいえ真夏の暑さです。激しく踊り跳ねる瀬奈の体からはモクモクと汗の蒸気が立ち込め、小便や精液と混ざり合って酷い悪臭を放っています。半ば意識がもうろうとしているのか、瀬奈は軽やかに舞いながらも白目を剥き、涎や鼻水を垂らし続けていました。
やがて騒ぎを聞きつけて小坊主達が次々に集まって来ましたが、「またか」と言わんばかりの呆れ顔で見物するだけで、騒ごうともしません。
「そんで、これからどないしましょ」
「それなんですがね、一つ提案があるんですよ。和尚さえよければ、ですが」
夕焼けの中、全裸で踊り続ける変態を尻目に、私は和尚にささやかな献策をしました。
やがて踊りつかれて倒れ込んだ瀬奈に、和尚が仏の顔で話しかけました。
「お前の誠意はようわかった。おチンポ様も喜んではる」
「ほ、ほんとですか!?」
「身も心もおチンポ様に捧げると誓うか?」
「も、もちろんです!」
「なら、まずは信心の邪魔になる会社、私に売りなはれ。いうてもウチは貧乏やから、代金は、そうやなあ、毎日誰かのチンポ嘗めさせてやる、とか」
「ああ! そんな! こっちに条件が良すぎて申し訳が」
「ええからええから。ほんで、どうしはる?」
一も二もなく、瀬奈はチンポで会社を売りました。
「まあ、あんなクズよりは数段マシだよな」
「ほかの社員や瀬奈のお父上には、我々幹部がうまく言っておきますので」
社員たちも異議はなさそうです。和尚は満足げに頷き、
「これでお前は、おチンポ様に祝福された神聖な巫女になったわけや」
「み、巫女? こんな汚らわしい俺がですか?」
目を丸くする汁まみれの瀬奈を本当に汚らわしいなと見下ろしながら、私は成り行きを見守りました。
「その証拠にホレ、おチンポ様も喜んではる」
「お、おチンポ様! い、いずこにっ」
「お前の股間や」
「へ?」
間抜けな声を上げて、瀬奈は自分の股間を見下ろしました。そこでは、人並外れた巨根がビクビクと脈を打っています。
「そのお方が、おチンポ様や」
瀬奈は一瞬目を白黒させていましたが、やがて恍惚の表情を浮かべると、ペタンと尻もちをついて巨根に顔を近づけました。
「ああ! おチンポ様! こんな近くにいらしたなんて! 俺、瀬奈春哉は、貴方様のしもべですぅ!」
自分のチンポに忠誠を誓う瀬奈。腰を折り、口をタコのように力いっぱい伸ばしてしゃぶりつこうとしますが、あと少しのところで届きません。見かねた元部下たちが後ろから瀬奈の頭を踏みつけてやります。
「ほらよ。今まで世話になった例だ。手伝ってやる」
「ああ! ありがとうございま……んぼっ! とろいた! おひんぽ様とろいら!」
無理な体勢のまま瀬奈はついに自分のペニスにしゃぶりつきました。
「んほおおお! しゅごい! おヒンポ様しゃいこぉおお!」
仕舞いには指で自分のアナルを犯しながらセルフイラマチオをし始め、やがて瀬奈は自分の口内に大量の精液をぶちまけました。またしても白目を剥き、鼻から自分の精液を吹き出します。よっぽど嬉しかったのか、瀬奈は自分のチンポを咥えたままアへ顔ダブルピースを晒しました。あまりの無様さに、境内にいた元部下や小坊主たちから軽蔑の拍手が送られます。それが鳴りやむと同時に、瀬奈はスッポンと間抜けな音を立ててペニスから口を抜き、境内の真ん中に大の字になって気絶してしまいました。
珍宝寺の買収騒動と、瀬奈春哉という男の人生が終わった瞬間でした。
「あとは和尚次第ですね。うまくやってください」
「いやセンセ、ほんに世話になりました。あんたは寺の末代までの恩人やで」
夕日の中で和尚と握手を交わして、私は肉棒に囲まれた石段をゆっくりと降りて行きました。
1か月後、私は再び京都は珍宝寺を訪れました。この日を初日として、月に一度「秘仏開帳」を行うというのです。金塗りになった石塔の階段を抜け境内に上がり、和尚と再会すると、奥の本殿へと通されました。中には既に何人もの男たちがいて、団扇で涼をとりながら幕のかかった上段の間を見つめています。
私が腰を下ろすと、マイクをもった和尚があらわれ、挨拶をしました。
「本日は暑い中、ようおこしなはれました。これより、この珍宝寺に伝わる秘仏、魔羅如来像をお披露目したいと思います。ほんなら、御開帳―」
和尚の合図とともに、寺の従業員となった瀬奈の元部下が幕を取り去りました。そこには……。
全裸で蓮台の上に合掌して立つ、金色の人影……。全身を金で彩色された、瀬奈春哉がいました。毛も剃られてつるつるになった股間からは、投薬でもされたのか、前に見た時より二回りも大きくなった金色のペニスが左曲りにそそり立ち、妙な威厳を放っていました。しかしなぜか、魔羅観音様の顔は、鼻水まで垂らした間抜けなアへ顔でした。
「おチンポ様!」
「おチンポ様!」
「おお、なんちゅう肉感や」
「まるで生きてはるみたいや」
前列にいた地元住民らしきご老人方が手を合わせて拝みます。そのたびに瀬奈の表情やペニスがヒクヒクと動きます。自分が像、つまりおチンポ様と思い込み、動かないよう必死で快感に耐えているようでした。
「あのブログ、本当だったとはな」
「これがあの瀬奈春哉のなれの果てか」
後列にいたのは、明らかにカタギではない強面の男達でした。瀬奈の裏ブログにある日突然、「おチンポ様に生まれ変わった僕」なるコーナーが作られ、瀬奈の自撮り変態写真がアップされ始めたのを見て、裏社会の重鎮たちが様子を見に来たようです。そういえば昨日の記事は、「ブタをも救う僕」とかいうタイトルでブタ崎にレイプされてる写真が貼られてましたっけね。
柄の悪い男達は、黄金に光る瀬奈や、二度とパンツに収まることのないだろう、肥大化した彼のペニスをニヤニヤと眺めては、証拠とばかりに写真を撮っていました。
「まさか本尊にしてしまうとはねぇ」
後ろへ戻ってきた和尚に、私は感心して声をかけました。
「月に一度、御開帳の日だけですが。ほかの日は巫女服を着せて、寺男や観光客の性処理をさせとります」
「寺も随分儲かってるようですね」
「シュン・ホールディングス改め、チン・ホールディングスの財力で大改修しましたからな。これからはおチンポ様をマスコットに、どんどん売り出してくつもりですわ。ホレ」
と、和尚は背後にあった土産コーナーを指しました。
やたらそっくりな似顔絵入りのおチンポ様饅頭におチンポ様クッキー。安産のお守りにもなる「おチンポ様の精液」、おチンポ様こと瀬奈のチン毛で作った陰毛筆。「おチンポ様の鼻糞」までありますが、これはあれですよね、ゴリラの鼻糞とか、そういう類のものですよね。
とにかく、和尚は瀬奈の体を文字通り毛一本まで売り物にしていくつもりです。
「そうそう、豚小屋にはまたブタ崎を入れておきました。人豚も育てれば観光資源になるやもしれんさかい。この調子でどんどん寺広げて、周りの古寺全部潰して、この山にオチンポランドいうテーマパークを作って見せますわ。その暁には、また招待させてもらいますな。おほほほほほほほ」
和尚は不敵に笑って胸を張ります。なんか瀬奈がやろうとしたことより酷くなってる気もしますが、まあ面白いからいいか。
30分もすると生きた仏像はガタガタと震え始め、触ってもいないのにペニスから精液を拭き上げました。視姦だけで達してしまったようです。精液を浴びた首元から、金の塗料が溶けて流れ出しています。合掌はかろうじて続けていますが、脚はガニマタに開かれて精液を垂らし、表情もさらに崩れてダラリと舌まで垂らしています。老人たちは奇跡だなんだと手を合わせていますが、おチンポ様にはもっと我慢を覚えさせる必要がありそうですね。
とはいえせっかくここまで来たので、私も記念とばかりにペニスを震わすこの全くありがたくない仏像に手を合わせ、和尚の事業の成功を祈るのでした。
終