帝国の落日・レジスタンス崩壊(後編)※

※『帝国の落日・レジスタンス崩壊(前編)』の続きです。

 

 

 

 

 

「やぁ、気分はどう?」

Rの無神経な声で、キンスターは目覚めた。

「うん、ちょっとベッドが固いかなー。あと、昨日のステーキ、ちょっと焼きすぎだねー。シェフの腕が悪いんじゃない?」「ふふふ、僕と同じもの食べてるのに文句つけるの?贅沢な死刑囚だねぇ」

捕まってからのキンスターに対する扱いは、拍子抜けするほど生ぬるいものだった。わりと広い独房に入れられ、食事も三食きっちり与えられる。毒が入っていないことも、一口食べればわかった。服だって着たままだ。自分がヴァルフラムやハーヴェルにしたようなことは、一切行われる気配もない。おおかた、下手に牢屋に入って逆襲、脱走されるのを警戒してのことだろう。
Rも案外とつまらない。だが、好都合ではある。どの道死刑当日は牢屋から出されるに決まっている。ならばその時に逃げ出せばいいだけだ。それに日を稼げば、ギャレッド同様生ぬるい、アマちゃんの隊長様が助けに来てくれるかもしれない。そうなれば隊長を囮にして逃げおおせることもできるだろう。

「それよりさー。オレ、退屈なんだけどー。遊んでくれないのー?」
「ごめんごめん。時期皇帝となると、いろいろと忙しくってさ」

お互いにニコニコと笑いながら、腹では相手をどう殺してやるかを考えている。悪くない、とキンスターは思う。17年間、人を無様極まりない下劣なモノに変えることだけが生きがいだった。目の前にいる余裕たっぷりの美少年を、彼自身が作ってきたブタやサルのように貶めてやりたい。状況は圧倒的に不利でも、キンスターはずっとそのチャンスをうかがっている。
Rと表面上和やかに会話をしていると、ぐるる、とキンスターの腹が鳴った。そういえば、捕まってから一度も用を足していない。

「トイレなら、そこにあるの使ってね。下に便壺があるだけのボットン便所で、外から丸見えだけど」

Rがニヤニヤしながら楽しそうに野次ってくる。ここで下手に恥ずかしがれば相手の思うツボだ。

「ふーん。じゃ、遠慮なく」

動きやすいから愛用しているが、全身タイツはこういうときに面倒だ。キンスターは手際よく全裸になると、Rに尻を向けて穴の上にかがみ込み、遠慮なくきばった。

ブッ という屁の音に続いて、ブリブリという下品な音が静かな牢獄に響き、キンスターの尻から野太い一本糞が伸びてきた。

「うわー、尻尾みたい。…キミ、少しは羞恥心ってものはないの?」
「べっつにー?みんなするでしょ、ウ○コなんて」

いつかお前のもじっくり見てやるよ、と内心で嗤いながら、キンスターは平然と脱糞を続ける。

「くっさいなぁ、キミのウ○コ。ねぇ、ちょっとこっち向いてよ」
「あはははは、こーかい?」

Rの呼びかけに、キンスターは尻から糞をぶら下げながら、上体をひねって顔を向ける。そしてそのままピースを作って笑って見せる。

「ははははは、キミ、サイコ~」

Rが腹をかかえて笑うのを尻目に、キンスターはブリブリと糞を出し切り、最後にジョロジョロと尿を出し切ってふぅと息をついた。

「ねぇ、紙はー?」
「ないよ。あくまで牢獄なんだから、あまりダダこねないでよね」

牢獄にも紙くらいあるだろう、と思ったが、そんなことで取り乱すのも馬鹿らしい。キンスターは「あっそう」とだけ言って、そのままタイツを着直してしまった。

「ああ、さっきも言ったけど、水洗じゃないから流れないよ。かといってキミのような危険人物の檻を開けて毎日汲み取りに行かせるのもマズイから、臭いは我慢してね。空調もないけど、自分のだからいいでしょ?死ぬまでの短い間だし」

(フン、ここから脱出して、お前を殺すまで、だけどね)

キンスターは内心でほくそ笑み、平静を装って答えた。

「うん、いいよ。看守さんさえ、よければねー」

 

 

「くっくくく、あっははははははあは!!!」

独房を出たRは、こらえていた笑いを一気にぶちまけた。

「あーおかしっ。馬鹿だねあの子。こっちの思惑通り、変なところで強がっちゃって。まぁ、せいぜい楽しませてもらおうか」

 

 

 

 

5日後

看守にガスマスクを薦められたRは、一旦断って素肌のまま監獄に入ろうとした。だがむせ返るほどの強烈な悪臭に数秒と耐え切れず、結局マスクをかぶって奥の独房へと向かった。

「んー?もしかしてRサマ?ひどいなー、キミまでそんなもの被っちゃってー」
「失礼は承知だけどね。僕も便臭にやられて死んじゃうなんて最期はゴメンだからさ。キミは平気なの?」
「ずっとここにいるからねー。まー、新しく出したときはちょっと臭うけど」

Rはちらりとトイレ、というより、床に空いた穴の下に巨大な便壺があるだけだが、そちらをちらりと見やった。遠目にも、床の穴から便の山がのぞいた。かなり大きな壺ではあるが、相当溜まってきているらしい。そんなRの様子に気づいたキンスターが、ニヤニヤと笑みを浮かべながら

「オレは快便だからねー。もうすぐ溢れてきちゃうよ。いー加減、取り替えるか汲み取るかしてくれないかなー?」

もしかしたら、そのためにわざとモリモリ出し続けたのかもしれない、とRは考えた。キンスターは体術に覚えがある。ゼラスさえいなければ、独房の鍵があいた一瞬の隙をついて脱走するだけの自信もあるのだろう。

「ああ、それなら心配ないよ。おめでとう。キミの処刑、明日にしたから。そろそろ頃合いみたいだしね」

処刑、と聞いてキンスターの眉がピクリと揺れた。恐れではない、脱走のチャンスとばかりに目が輝いている。
馬鹿なやつだ。自分がその気になれば、全ての人間をブタに変えられると思ってる。自分がどれほど無力でみじめで、醜い存在か、死を以て教えてやろう。
Rがガスマスクの下で嘲笑していると、キンスターが大きく伸びをしながら立ち上がった。

「へー、そーいうことなら、せっかくだしもう一回使っとこっと」

背を向けたキンスターを見て、Rは思わず噴き出した。真っ黒な全身タイツの尻のあたりだけが、一面真っ黄色に変色している。毎回尻を拭かずにタイツなんてはいているのだ。当然と言えば当然だが、本人は気づいているのか。

(キミにはぴったりの死に装束だよ)

ほくそ笑むRの前でキンスターは堂々と全裸になり、何を思ったか、屈みこむ前にペニスをつかむ。そして、

「今日でお別れ、ていうのもさみしいねー。じゃあ、ささやかだけど、プレゼントあげるよーホーレホレ」

格子を挟んだRと看守に狙いを定め、腰をひねりながら小便をひっかけ始めた。

「うっ」

さすがのRも不意打ちを避けきれず、ガスマスクをした頭から黄金水をまともに浴びてよろめいた。

「あははははは。どうー?オレの聖水はー?」
「貴様ッ」

看守が剣を抜いて独房へ駆け込むとするのを、Rが引き留める。

「やめなよ。あんな安い挑発に乗ってどうするのさ」
「しかし………」

R同様ずぶ濡れになった看守は、剣の柄に手をかけたままワナワナと震えている。そんな様子を見て、キンスターはカラカラと笑いながら、便壺に糞をひり出していた。

「フン、いい気になっていられるのも、今日までさ」

そう、この少年は明日、公衆の面前で無様極まりない死を遂げる。Rはそれを思うと、見下すようにヘラヘラと笑う少年が哀れでたまらなくなった。

 

 

 

 

処刑当日

「はっ……こ、ここは………」

キンスターが目覚めた時には、もう遅かった。彼は王城前の広場に設置された×字型の磔台に、タイツ姿のまま大の字に固定されていた。周りには、何千という観衆が取り巻いている。キンスターがよほど臭うらしく、一様に鼻を摘まんで顔をしかめていた。

「おはよう、キンスターくん。残念だったね。処刑場に向かう途中で逃げ出すつもりだったんだろうけど、そんなことはこっちもお見通し。強力な催眠ガスで眠ってもらったよ」
「くっ。このクソガキが!!」
「やだなぁ。同い年の子にガキだなんて言われたくないよー、だ。あーあ、残念。キミにもうちょっと可愛げがあればいいお友達になれたかもしれないのにね。ここでお別れだよ。キミは今日、死ぬんだ。とびきり、惨めにね」
「……へー、それは、どーかなー…?」

必死で強がりながら、キンスターは生まれて初めて、本物の恐怖を感じ始めていた。ここまでがっちり固定されていては身動きが取れない。何か手は……と、見まわしているうち、ギャラリーの中に知った顔を見つけた。

「キン兄!!しっかりしろ!!」
「逃げてキン兄!死なないで!!」

ディーンとクトロ……。キンスターを兄と慕うレジスタンスの孤児。彼らがいるなら、コールも来ているかもしれない。まだ望みはある。キンスターは震える体を必死で抑えつけ、真っ黒な目でRを睨みあげた。

「それではこれより、国家反逆罪および連続殺人その他諸々の罪により、罪人・キンスターの処刑を執り行う」

兵士が高らかに宣言すると、観衆から声援が飛ぶ。こんな時世だ。人が死ぬ姿も娯楽でしかない。

「まぁ、そう構えなくていいよ。既に準備は整ってるから」
「フーン、それはよかったねー。でもそううまくいくかなー?」
「フフ、強がっちゃって。かーわいいーなぁもう」

Rがキンスターの鼻を指で押し上げてやると、キンスターは満面の笑みを作って「ぶぅぶぅ」と鳴いてみせる。強がりでも、この期に及んでここまで余裕ぶっていられるのは大したものだと、Rは素直に感心した。それでもキンスターの額には冷や汗がにじみ、体はわずかにだが、小刻みにふるえている。Rはキンスターの耳元に口を寄せ、そっと呟いた。

「じゃ、もう飽きたから壊してあげるよ。かわいい弟の仇なんだ。せいぜい醜くのたうちまわって、いい見せしめになってね。じゃ、さようなら」

キンスターは眉を吊り上げて言い返そうとしたが、その声はRの声にかき消された。

「それじゃあ諸君!死刑の前に、この少年が面白いショーを見せてくれるそうだよ」

Rが合図をすると、脇にいたガトー博士が、ニヤつきながらキンスターに歩み寄る。その手には、大きな注射器が握られている。

「お………おじさん、何をする気かなー?下手に近づくと、噛み殺しちゃうよー?」
「強がるのもいいが、あまり度が過ぎるとかえって哀れだぞ。まぁよい。お前さんには面白いプレゼントを貰ったからな。お礼に天国を見せてやろう」

プスッ  と、ガトーはキンスターの首元に、注射器を突き刺した。

「んあっ!?」

瞬間、キンスターがカッと目を見開き、口をあんぐりと開ける。

「ふふふ、強力だろう。致死レベルの媚薬だからな。まぁこれから死ぬのだから何も問題はなかろう」

「おっ、おっ、おっ、ほおおおおぉぉぉぉっ???」

キンスターの顔がみるみる赤くなり、鼻息が荒くなる。そして、タイツの股間部分がもっこりと大きく盛り上がり、観客から拍手が起こる。

「ぼ…ぼっきだ……ディーンくん、ぼっきだよ!キン兄、ぼっきしちゃてるよぉ!」
「ああ、ネギ男と同じだ!やばいぞ、キン兄、変態になっちまう!」
少年たちの悲痛な叫びが、観衆の笑いを誘う。

キンスターが口をパクパクさせてもがいていると、Rが歩み寄り、楽しそうに囁く。

「実はねぇ、キンスターくん。キミがおねんねしてる間に、そのタイツにもちょっと仕掛けを施させてもらったんだ。存分に楽しんでね」

Rの目配せにガトーが頷き、手元のスイッチを押す。すると、

「ふんぎゃあああああああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~~~!!!????」

タイツ全体に電流が流れ、キンスターの体が激しく跳ねる。媚薬のせいで、電流さえもが刺激となり、ペニスを震わせる。

「ひいいぃぃぃぃぃ!!フゲェええええええええええ!?チンポおおおおおっ!!!チンポがあちゅぅいいいぃぃ~!!!!アヘッェエェエエエエエエエエエエエ!!!!!おっほおおおおおおおぉぉぉ~!!???  たっ、たしゅけてっ、だれかぁっヘェェェェ~~!!!!」

もはやキンスターの顔は見れたものではなかった。

目玉が飛び出さんばかりに目を見開き、大きな黒目がそのままぐるんと白目になり、かと思うと黒目に戻る。ぐるぐると回る目玉の横から涙が吹き出し、汗といっしょに飛び散る。口も限界まで開かれ、その中では上下の歯がしきりにガチガチとぶつかり合う。真っ赤な歯茎がくっきりと見え、歯の間からは泡となった涎がゴボゴボと噴き出す。これまた無様に広がった鼻の穴からは粘ついた鼻水がビローンと飛び出し、痙攣にともなって右に左に振れた後、ちぎれて周囲へ飛んでいく。やがて赤い鉢巻きが汗に滑ってダラリと垂れ、顔の半分にベトリと張り付く。

数分前までの余裕に満ちた顔も、何人もの男を壊してきた冷酷な眼差しも、もはや欠片さえ残っていない。敗北者の惨めな表情だった。

「ギョォええええええ~~!!?イクっイクぅッ!チンポ吹くうぅぅんおおおおおおおおおっおっおお~~~!!!」

ケダモノじみた鳴き声をあげてキンスターがわななくと、タイツの中でペニスが暴れまわり、やがて股間に染みが広がっていく。

「ひいっ!!キ…キン兄……」
「見るなクトロっ!あれはもう、キン兄なんかじゃねぇ!」

ディーンがクトロを抱えるようにして駆け去っていく。磔にされたキンスターは、今度は快楽に振りきれたアヘ顔を晒してエヘエヘと震えている。大きく開いた股から染み出た精液が糸を引き、床に精液だまりを作っている。

「あーあ。ぶっざまだねぇキンスターくん。ハーヴィーといい勝負、いや、アレより汚い顔してるんじゃない?でもまだまだ出るでしょ」

「ひっ、やめへ、やめへくらはぃいい!!!オレが、オレがわるかったれひゅうう!!
たしゅけて!!なんでもしゅるから、ころひゃないでぇっ!!」

キンスターが涎と鼻水に塗れた顔を晒し、ろれつの回らない舌で必死に懇願する。

「……想像以上に醜い奴だね。まぁ、そんなキミに相応しい最期を用意してるんだけど。でもその前に、せっかくだからキミのチンポも皆に見てもらおうか」

兵士がキンスターのタイツの股間部分を丸く切り取ると、そこから精液塗れの長いペニスがニョキッと飛び出した。

「うわ、真っ黒。どんだけやりチンなのさ。まぁ相手は全部男なんだろうけど」
「やりチンでごめんなしゃいぃぃぃ!!ケツマン好きでしゅびばべん~!!!だかりゃもう許ひてえぇぇぇっぇ!!! !?おべええええええええええええぇぇぇぇぇぇっ!!???」

ガトーが再びスイッチを入れたようで、キンスターの体が激しく震え、迸る汗がRにも降りかかる。

「ドクター!勝手に押さないでよ!鼻水とかかけられたらどうしてくれるのさ」
「すまんすまん。ん?」

ガトーの視線を追ってRがキンスターを振り返ると、キンスターはマヌケ面で何かわめきながら、タイツから飛び出したペニスから勢いよく小便をまき散らしていた。観衆から悲鳴と怒声が上がり、あたりは阿鼻叫喚のありさまだ。

「またオシッコひっかけてら。汚い奴。って、うわ、尻ももりあがってんじゃない?」

「ほげええええええぇええええ!!!でりゅうう!!!ウンコでりゅ!ビチグソもれひゃううううううう~!!!」

ブリブリブリ  ブウッ  ブブブブブブッ

鼻の下をのばしきって放心するキンスター。その尻がみるみるうちに盛り上がり、やがて重量に耐えきれずに、タイツが破けた。滝のように糞便が流れ出る様子に、周囲からは悲鳴と歓声、爆笑が一斉に巻き起こる。

「ヒィ、アヒィ、出た、おれ、ウンコもらひひゃった……んへへへへ、おへへへへ」
「最低だねコイツ。なんか見込み違いだったよ。あらゆる男をブタに調教できる鬼才なんて噂もあったけど、こいつ自身がとんでもないブタだもの」

と、その時、不意にキンスターが液体まみれの顔を上げて大声で叫んだ。

「たいちょー!!!たしゅけて!!たしゅけてくらひゃいいいいいいいいい!!!」
「!しまった上か!?」

Rが空を見上げると、王城の二階の窓のあたりにコールの姿があった、

「くそっ」

視線に気づいたコールはあわてて建物の中に引き返す。

「おいルード、追わせなくていいのか」
「構うもんか。あいつ一人に何ができるのさ。にしてもバカだねぇこいつ。黙ってりゃ助かったものを。もういいや、死んじゃえ」

Rは懐からマッチを取り出すと、キンスターのタイツにためらいなく火を放った。

「ひいいいいいいいい!!やらああああああ!!じにだくなひぃイイいいい゛!!!!」

すると、背後の兵士たちが無様に懇願するキンスターの拘束を解く。火だるまになって飛び出したキンスターの目に、液体がなみなみと溜まった大きな壺が映った。そして彼は火を消したい一心で何も考えず壺に飛び込み……

「!!!!!!うげえええええええっ!!ぐざいいい~~!ひいぃぃ鼻が、鼻がもげりゅゴボゴボ  ウゲアアッ  ブクブク」

すかさずRは壺に蓋をさせ、漬物石を置き、その上に脚を組んで座った。

「あっはははは!作戦せいこー!5日間たっぷりひり出した自分の糞尿、死ぬまでたっぷり味わうがいいよ。ま、乾燥防止にちょっとだけ水も混ぜたけど。アハハハハ」

そう、キンスターが飛び込んだのは、前日まで彼が使っていた便壺だった。壺の中からは聞くに堪えない悲鳴がこだまして響いてくる。しばらく壺は内側から揺れていたが、やがて悲鳴とともにそれも収まっていった。

「じゃ、続きは明日ね。漬物は一晩寝かせてこそ、いいアジがでるんだな」

 

 

 

翌日。

壺の中から、人の形をした茶色い塊が引きずり出された。もはやピクリとも動かないソレを見て、Rはニタリと笑う。

「じゃあドクター、頼んだよ」
「やれやれ、臭いとの勝負だな、こりゃ」

 

そして次の日には、旧王国博物館に、新たな目玉展示が二点、登場した。
ひとつはセックスの快楽に狂った姿をそのままとどめた、「ギャレッドの剥製」。
そしてもうひとつは……

「うわっ、なにこれ、すごいリアル…」
「リアルもなにも本物だろ…」
「うわぁ、臭ってきそう。きったなぁい」

余計な糞をそぎ落とし、肌の表面についた糞だけできれいにコーティングされた人間の漬物、「キンスターの糞漬」。

茶色いマネキンと見まがうほど精巧な作りで、死後硬直で固まった、死んだ瞬間の表情まではっきりと見て取れる。恐怖に見開かれた瞳。突き出された舌。広がった鼻の穴には、びっしりと糞がつまっている。そしてそんな糞の塊を、プレパラートのように二枚のガラス板で挟み込み、大きなガラスの箱でそれを密閉している。
世にも珍しい人間の糞づけは、怖いもの見たさで話題を呼び、帝国の新たな名物として評判を集めた。今日も哀れな糞の塊は、大勢の客にあざ笑われ、バカにされながら、ただそこに立ち尽くしている。

これが、幾多の男たちをブタ奴隷へと変えてきた魔性の少年の、哀れな成れの果てだった。

この2体の醜い末路に、人々は帝国に刃向うことの愚かさを痛烈に理解した。なにより、レジスタンスに対する失望と軽蔑が国民に植え付けられ、もはや抵抗活動を行うことは不可能となった。
ここに、長らく続いたレジスタンスは崩壊。要塞をはじめ、彼らの拠点はことごとく制圧された。
そして、コールは一人、どこへともなく姿を消した。

 

要望があれば続くかも

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