『帝国の落日・被虐の騎士』の続きです。
「いひいい、ひひひぃ……オチンポ、オチンポぉ…」
「汚いな。思った通りだ」
要塞の屋上で、コールは例の騎士の成れの果てを見下ろしていた。
射精のしすぎなのか、白目を剥いて舌を垂らし、鼻に生えたネギを鼻水で光らせ、精液の海に横たわっている。それを、キンスターが愉快そうにつついている。
「一日中オナらせてたからねー。臭いも酷いでしょー」
「まったくだ。やり過ぎはお前の悪い癖だぞ、キンスター」
「えー?こんなのまだまだ、序の口だと思うけどなー」
「あへ……えへへ…ぶぎょっ」
無様に歪んだ端正な顔を、コールが強く踏みつけた。
「やはり汚いなぁ、帝国の屑どもは、ええ?」
「は、はひぃぃぃ!!ヴァルフラムはぁ、ウンコ以下の、糞野郎でひゅううう!!」
「フン」
その顔を蹴飛ばすと、コールは静かに階段を下りていく。
「たいちょー、コレの処分、どーするー?いーかげん、おいといても臭いだけだよねー」
「丁重に返却してこい」
振り向きもせず、コールは冷たく言い放った。
「あ、なるほどー」
キンスターはポンと手をたたくと、ヴァルフラムのそばにかがみこんだ。
「じゃあね。お別れだよ、腐れ野郎」
キンスターの大きな黒目が、夕闇の中で、いっそう黒く光っていた。
帝都、中央公園。人通りの多い夕方の噴水広場に、ヴァルフラムはいた。
相も変わらずネギを生やし、全裸でペニスをこすっている。
「アヘェ~うへへ、だれかぁ、見てくれよおぉ、オレの変態オナニーぃぃ」
「うわ、なにあれっ」
「おええっ、変態だ!噂の、変態貴族だろ」
「ああ、敵に降伏して、変態になったとかいう、恥知らずな」
「きゃー!!近づかないで」
「んへぇええ!!もっと言ってくれぇ!変態って言って、踏んづけてくれよおおぉ!んひ、んほおおおおおおおおおおぉ!」
鼻に生えたネギをビクビクと上下させながらペニスをこすり、空いた手で尻のネギを激しくかきまわすヴァルフラム。その焦点の合わない淀みきった目に、見覚えのある顔が映った。
「あひひ、ぜ、ゼラスしょーぐんんっ!!アへへへ、見てくれよ、オレ、こんな変態に」
「無様な………少しでもお前に期待した俺が愚かだった」
「んほおおぉ!いいぜぇええ!!もっといってくりぇ」
変態と化したヴァルフラムの蕩けきった声は、そこで途切れた。
「フン。空気が汚れる。さっさと焼却させねば。……仇だけはとってやる。それが、武人としてのせめてもの手向けだ」
静かになった夜の街を、ゼラスは重い足取りで歩いて行った。
後にはただ、幸せそうな間抜け面を涎と鼻水で光らせた、かつての騎士の首が転がっていた。