利家とまら

「前田軍の皆様、本日も昼餉は、いつものごとく、まつ特性名産なんでもおにぎりにござりまする」
「ひゃっほー!待ってましたぜ!」
「よーし、みんな、食え食えー、ははははは」

加賀の国、手取川。
前田家当主、前田利家は、大勢の家臣とともに、最愛の妻・まつの手料理を囲んでいた。
上は素肌に肩当てをつけただけ、下も褌の上に腰巻を当てただけの限りになく裸に近い姿。開放的すぎるこの姿も、家族同然の家臣団の中ではむしろ当たり前の格好であった。もっとも利家の場合、戦場ですらこの姿なのだから、まつの気苦労も絶えないのだが…。

いつも通りの風景、いつも通りの食卓。利家は、こんな生活にただ満足していた。魔王・織田軍随一の猛将だったとはいえ、もとより争いを好まない、人のいい男である。主の死後は、愛する妻と家臣団、そして領民を守ることのみに心を傾けてきた。
最近、世間がまたきな臭くなってきている、とは、彼も感じていた。弟分ともいえる家康と三成の確執が深まり、天下を二分する戦に発展しつつある。だが、彼が中立を貫く限り、滅多なことは起こらないだろう、という空気もあった。二人とも、利家の言葉は無下にはできない。彼の人望が、世の平和をぎりぎりのところで支えているのだ。
だからこそ、利家はただ、楽しく、笑って暮らす。そのうちに、家康も三成も、日の本中の人間が笑って暮らせる世がくれば…、そう願いながら。

「あら?慶次?慶次ではありませぬか?」

宴もたけなわというころで、まつがふと、驚いたような声を上げた。

「や、やあ、まつねぇちゃん。トシ」

利家がつられて顔をあげると、そこには、懐かしい顔…甥であり、あるいは親友とも呼べる慶次の姿があった。

「慶次!おお、久しぶりだなぁ!ほら、座れ座れ、まつの飯だ!」
「もう、帰ってくるならそうと、文のひとつでもくださりますれば、もっとちゃんとした物も用意いたしましたものを」
「ああ、うん。悪いね急に。いやさ、急にまつ姉ちゃんの料理が食べたくなってさ」

明るい声を上げる2人に、慶次はバツが悪そうにうつむきながら、ぎこちない笑みを浮かべて返す。利家はきょとんと、まつと顔を見合わせた。
この風来坊のことだ、ぶらりと出て行ったかと思えば、前触れもなくぶらりと帰ってくる。これもいつものことなのが、それにしても様子がおかしい。快活を絵に描いたような慶次にしては、どこかしら大人しすぎる。

「どうした慶次、覇気のない顔だな?」

思わずたち上がって顔を覗き込むと、慶次はいつにない、真剣な、それでいて嬉しそうな妙な目をして呟いた。

「トシ、あんたの強さ、今ならわかるよ」

利家とまつはもちろん、家臣一同ますます目をまるくして顔を見合わせる。

「ど…どうしたんだ、慶次?具合でも悪いのか?」

利家がもう一度尋ねると、慶次は少し間をおいてから、

「いーんやっ!どっこも悪くないよ?なんだいトシ、まつ姉ちゃんも。俺、そんなに変な顔してるかい?」

急にいつもの、明るい調子で答えた。
杞憂だったか、と、一同は胸をなでおろし、慶次を中央に据えて宴を再開した。

「いやー、うまい!やっぱまつ姉ちゃんの飯は最高だよ」
「はははは、そうだろうそうだろう、なんたって、まつの飯だからな、ははははは!」
「もう、慶次ったら、がっつきすぎですよ。犬千代様も」

普段に増してにぎやかで、幸せな食卓。再会の嬉しさに、利家は慶次を抱き込むようにして飯を食う。慶次も、満面の笑顔で飯をかきこむ。

「なんていうのかな、家族愛ってやつ?恋もいいけど、こういう感情ってやっぱ大切だよなぁ」
「お、なんだ慶次。少しは大人になったみたいじゃないか」
「犬千代様も、もう少し大人になってくださりませ」

まつが茶化すと、宴席に笑い声が響き渡る。そんな中、慶次はぼそりと、小さくつぶやいた。

「…でももっと、本物の愛ってやつを、教えてやるからな、トシ」

 

 

 

 

 

「………ここは?」

利家が目を覚ますと、そこは自分の城である尾山城の一室だった。
いつの間に寝てしまったのだろうと、寝ぼけまなこを擦ろうとして、両手両足ががっちりと、縄で固定されていることに気付いた。

「なっ…なんだこれはっ!?」
「犬千代様っ」

利家が声を上げると同時に妻の声が聞こえ、顔を上げると、まつもまた、向かいの柱にくくりつけられていた。その周りには、主だった家臣一同が、す巻きにされてごろごろと転がっている。

「こっ…これは一体ッ…」

「やぁ、2人とも、目が覚めたかい?」

甲高く響く明るい声。すかさず睨み付ける…と、

「け…慶次…?」

ニコニコと微笑みながらこちらを見下ろしていたのは、まぎれもない、甥の慶次であった。

「慶次!話があります、そこに座りなさい!」
「げぇ、いきなり説教かよまつ姉ちゃん。やめてくれよ、みんなが見てるよー」

おどけた慶次の言葉通り、転がっている家臣たちも目を覚まし、口々に騒ぎたてている。

「…慶次、水風呂程度なら笑って許してやる。でもな、これはちょっと、やり過ぎじゃないか」
「やーだなー、トシ、顔が怖いよ?まぁ、聞いておくれよ。俺さ、ずっと一期一会の出会いや恋を楽しみに、あちこち回ってきたけどさ、少し前に、ある人に出会って、世界が変わったんだ!」

いつものように、いや、いつも以上に明るく、楽しそうに話す慶次に、利家は得体のしれぬ気持ち悪さを感じ始めていた。やはり、なにかおかしい。

「恋も大事さ、大事だけど、やっぱ、愛!愛なんだよトシ!愛は地球を救うんだよ!」

慶次は飛び跳ねるように利家に歩み寄り、おもむろに、彼の唯一の着衣である腰巻を、力任せに引きはがしてしまった。

「なっ、なにをするっ!慶次っ!」

「あっはははは、なんだよ、いつも裸みたいなカッコしてるくせに。ほいさっ」
何の遠慮もなく、褌まで引きはがす。

「ぬおっ、ば、馬鹿!返せ!このっ」
「きゃあっ」

ずんぐりとした巨大なイチモツが露わになり、利家は何年振りかというような怒声を上げ、まつ頬を赤くして目をそむける。だが慶次は、一向に悪びれる気配もない。

「いや~、あいも変わらず立派な男根だねぇ。あれ、まつ姉ちゃん、なに恥ずかしがってんの?どうせ今でも毎日お盛んなんだろ?いつも見てるものじゃない」

「慶次!今日という今日は、許しませんよ!」
「わぁ、怖い。やっぱ縛っといて正解だったよ。で、さっきの続きだけどさ」

利家とまつだけでなく、周囲の家臣団からも殺意のこもった怒号が飛ぶが、慶次は全く気にしない。利家の前にかがみこみ、その顔を覗き込みながら飄々と続ける。

「トシの強さはさ、やっぱ、愛の力だったわけよ!それはそれでいいんだけどさ、なんつーのかな、トシの愛は、まつ姉ちゃんだけに向いちゃってるわけじゃん。そんなんじゃさ、姉ちゃんは守れても、他の皆を守ることなんかできないよ」

なぜかちょっと悲しそうな顔をする慶次。正直甥が何を言っているのかわからなかったものの、律儀な利家はとりあえず正論で対抗する。

「そんなことはない。確かに某はまつが好きだ。大好きだ。でもな、そこにいる家臣たちだって、領民だって、…それに、家康や三成のことだって大切に思ってる。少なくとも、某はそのつもりだ」
「ちがうっ、そうじゃないんだよ。愛ってのはもっと、オープンなわけ?わかる?」

利家にはいよいよわけがわからない。そもそも、「オープン」がわからない。

「トシがまつ姉ちゃんを愛するのと同様に、みんなを平等に愛するべきだって言ってんの。そのためにはまず、全てを受け入れる心が必要なんだな。ってわけで、この俺が、手取り足取り教えてやろうってわけよ」

まくしたてながら、慶次はふいに、利家の性器を握りしめた。

「ぐおっ!け…慶次、貴様っ!」
「あいたっ!?」

腕を抑えて飛び下がる慶次。耐え切れなくなった利家が、慶次の腕に噛みついのだ。

「お前…なんか変だぞ。縄をほどけ、そして、某と勝負しろ。腐った根性、たたき直してやる」

「…ふーん」
腕をさすりながら、慶次は冷めた目で利家をにらみ、そしてつかつかと、まつの方へ歩み寄った。

「いいさ、なら、まつ姉ちゃんの方から、愛の偉大さを教え込んでやる」
「きゃあ!な、なにをするのです慶次!離しなさい!殺しますよっ!!」

あろうことか慶次は、まつの豊満な胸をがっしりと両手でつかんで、いやらしく握り始めてしまったのだ。

「やめろおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

利家の怒声が、城全体を揺さぶる。さすがの慶次もすくみあがり、胸から手を放す。

「…慶次、お前が、ここまで腐り果ててしまうとは思わなかった。某は、悲しい」
今まで聞いたことのないような、重く、低い声で言いながら、利家は鋭い目つきで慶次を睨み付ける。だが慶次も負けじと、似つかわしくない冷酷な表情を作って、自慢の太刀をまつの首元につきつける。しばらくして、重苦しい沈黙を利家の方が破った。

「…前田の本分とは、一にまつ!二にまつ!三にまつ!…大切なものを守るためだ、某のことは好きにしろ。ただし、まつには指一本触れるな」

「へっ、そうこなくっちゃな」

勝ち誇ったように口端を上げると、慶次は太刀を下げ、利家に歩み寄っていった。

「じゃ、まずは誰にでも心を開くための練習だ。トシ、ここでせんずりこいて」
「なにをっ」
「好きにしろっていったじゃん。こんなの手始めだよ。縄はほどいてやるけど、変なそぶり見せたら、姉ちゃんがどうなっても知らないからね」

太刀で利家の縄をほどくと、慶次はその矛先をすかさずまつに向ける。利家としては、もはや慶次の言いなりになるしかなかった。

指示に従い、座ったまま股を大きく開くと、大きく長い性器をたくましい右手で握り込み、シコシコと激しくしごきあげる。

「さっすがトシ、せんずりも男らしいね。でも、なんかそのマラ、華がないよねぇ。無駄に大きいし、真っ黒だし。おまけにそのボッサボサの毛。ま、トシらしいっちゃらしいか。なぁ皆」

慶次の命令で、まつや家臣団は、主のみっともない自慰行為から目をそらすことを許されない。30人ばかりもの観衆に視姦されながら、利家は必至でオナニーを続ける。

「ほらほら、トシ、そんなんじゃつまんないよ!空いた手は頭の後ろ!そんでほら、中腰になって腰くねらせて。あはは、そうそういい感じ。踊る阿呆に見る阿呆、ってね。あはははは」

(前田家の当主ともあろうものが、家臣やまつの前でこんな痴態を)

不甲斐なさに顔を真っ赤にし、歯をくいしばりながら腰をくねらせ、男根をしごき上げる利家。そんな卑猥な姿を、家臣一同も辛そうに見守っている。
しだいに利家の息遣いが荒くなると同時に、家臣の何人かから生唾を飲む音が漏れ始める。そしてついに利家が涎まで垂らし始めたころ…

「トシ、トシ、ちょっと顔上げてみ」

促されて顔をあげると、

「じゃーん、御開帳」
「きゃあああっ!!」

慶次がまつの服を力任せに引きちぎり、巨乳が飛び出した。

「ふぼぉっ!?」

と同時に、利家の体から、鼻血と精液が同時に吹き出した。

少しの間放心状態になっていた利家だが、すぐに身を起こし、笑い転げる慶次を怒鳴りつける。

「慶次ぃ!!まつには指一本触れるなと!」
「触ってないよーだ。ほれ、俺は服しか触ってねーもん。それより次、次。まだ終わってないんだから」
「ぐぬぅ、服も含めて、まつには、まつの体に触れているものに触れるな!」
「ああもう、めんどくさいなトシは。はいはい、わかりましたよっと」

顔を伏せてすすり泣くまつに再び太刀を当てながら、慶次は次なる試練を利家に課した。

「愛はさ、人類だけのためにあるものじゃないんだ。動物も植物も、みんな生きてるんだ。友達なんだ。ってわけで、やっぱり一国の領主様ともなりゃあ、動物の気持ちもわかっとく必要があると思うんだ。そこでさ」

にやりと嫌らしい笑みを浮かべて、慶次は言い放った。

「犬になってよ。犬千代様」

唖然とする利家に、わざわざ用意してきたのか、「いぬちよ」と書かれた木簡に糸をつけた、簡単な首輪を投げてよこす。

「それつけてさ、三回回ってワン」

利家はさすがに怒って反抗したが、人質を取られている以上どうしようもない。結局、言われた通りに首輪をつける。そして全裸のまま、家臣や妻の前で四つん這いになって、広い部屋をぐるりと三周する。拭いてもいない丸出しの男根がぶらぶら揺れ動き、精液の糸がそれにつられて伸びてはちぎれる。終わったころには、部屋中に精液がまき散らされてしまっていた。

「わん、わん、わおーんっ!」

利家は、命じられたとおり、「ちんちん」のポーズをとって、大声で鳴く。

「ああ、おいたわしや」
「犬千代様っ」

主のあまりに無様な姿に、家臣やまつは涙を流して憐れむ。それも、利家を責める要因にしかならなかった。

「ぶははっ、さすが犬千代様、サマになってるねぇ。あれ?さっき出したばっかのくせに、またおっ勃たせてやんの。この変態」

「んなっ」

言われて利家が自分の性器に目を落とすと、確かにそれは、槍のように立派にそそりっていた。まつが悲鳴のような短い声をもらす。利家の目には、涙まで浮かんできていた。

「うわっ、勃起して泣いてるよ。カッコわりぃの。じゃ、ワンちゃん、次は餌だよ。ほら、そこに水溜り作ってる汚いの。自分で舐めて片付けてね」

それは、先ほどまき散らした利家の精液だった。

「けい…じ…お願いだ、もう…もう許してくれ」

「何を許すんだよ。それよりほら、その股間が何よりの証拠。だんだん、愛がわかってきたんじゃない?」
「…へ?」
「その、みんなに全てをひけらかして興奮する、その快感。それが愛!世界を救う力さ!」
「これが…愛?」
「騙されてはなりませぬ犬千代様!私めのことはいいから、どうかもうそのようなはしたない真似はおやめください!」

何と言われても、まつを見捨てることは利家にはできない。まつの叫びも空しく、彼は四つん這いになり、自ら出した精液をペロペロと舐めだした。不味いはずなのに、その顔にはどこか恍惚としたものが現れ始めている。

「ああ、いいよ、トシ」

それを見つめる慶次や家臣団にも、興奮の色が見える。そして、命令はさらにエスカレートしていく。

「ワンワン、ワオォーン!耐え性のない駄犬は、雪隠でもないのに小便まき散らしてしまいます!わ、ワオォオーン!」

教え込まれたセリフを吐きながら、四つん這いで片足を高く上げ、室内に犬のように放尿する。

「ひいい、見ないでくれぇっ!まつ、見るなぁ!」

勃起したペニスから、間欠泉のように黄色い液体が吹き出し、高く弧を描いて壁を濡らす。それに伴い、部屋中にいいようのない嫌な湿気と臭いが立ち込める。

「よくやったねトシ。じゃあ今度は、苦手なものを克服しないとね」
「そんなっ、まだやるのか!」

男らしさに溢れていた利家は、もはやそれこそ子犬のように縮み上がってしまっているが、慶次は容赦しない。床から精液を救い上げて利家の肛門に塗りたくると、どこから持ってきたのか、野菜かごから人参を取り出し、先端を穴に差し込もうとする。

「ひいぃいい!人参は、人参はやらぁあああ!」
「いい歳こいて何言ってんのさ。無法者は、鼻にニガウリ突っ込んでやる!」
「ぶごおっ」

さすがに入るわけもないが、押し付けられたニガウリで利家の鼻は豚のように反り返り、溢れ出た鼻水がニガウリとの間に糸を引く。そんな状態のまま、慶次は、人参を利家の肛門に思い切り突き入れた。

「ぐぎゃああああああ!!ほげええええ゛っ~!!!?」

利家は、豚顔のままぐるんと白目を剥き、舌を突出し、涎をまき散らす。尻からは太い人参が生え、下半身は激しく痙攣している。それに伴い、勃起した性器もぶるんぶるんと踊り狂う。

精悍な美丈夫の姿はどこにもない。情けないケダモノ同然の醜態である。

「い…いぬちよ…さま…っ」

夫のあまりの姿に、ついに気丈なまつも気を失ってしまった。

「あらら、ちょっと刺激が強すぎたかな。でもこっちは…」
「おへへへへ…いい゛っ…ぎもひぃじょぉっ…おへへへ…」

慶次が見下ろす先には、大の字になって痙攣する全裸の利家。その顔には、完全に狂った笑顔が張り付いていた。

「すっかり『愛』に目覚めてくれたようだね。俺、嬉しいよ、さあ、みんな」
くるりと後ろを振り返る慶次。気絶したまつの向こうでは、30人近い男たちが鼻息を荒くし、目をぎらつかせている。

「へへ、キミらの食事に混ぜといた媚薬も利いてきたようだね。じゃあ、主従水入らず、思いっきり楽しみなよ」

慶次が男たちの縄をほどくと、彼らは一目散に利家の方へ群がり、人参を引っこ抜くと、我先にと性器を出して利家の穴へと突っ込んでいく。

「殿ォっ!愛しておりまするぞぉ!ふんっ」

パンッパンッ

「それがひもっ!それがひもお前たちのおちんぽ、愛してるじょおっ!!ひぎぃいいいっ!いいっ!ケツがいいっ!もっと、もっとマラをくれぇえええっ!!前田の本分とは!一にマラ!二にマラ!三にマラァっ!んごおおっ!?」

口も脇も、鼻の孔にまで男根を挿れられ、男根に囲まれながら、利家は快楽に溺れきった下品な笑みを浮かべていた。

「よかったよかった。これでトシもみんなも、ちゃんと愛に目覚めたようだな。あの方に報告に行ってこないと」

「ひぎいいいっ!3本目ちんぽ、討ち取ったりぃい!!もっと!もっどだぁ!早く、早く突っ込んで…ぐひょおおおおおおおっ~!!?」

ひたすら肉欲をむさぼる主従を残して、慶次はそっと城を後にした。

 

 

数刻後、用を終えた慶次が戻ってみると、部屋はすっかり雄の臭いが充満し、思わずえづいてしまった。そして中には、死体の山のように積み重なり、ピクピクと震える全裸の男たち。そんな中利家だけが立ち上がり、転がった家臣の性器をちゅぱちゅぱと啜っていた。

「あちゃー、ボコボコにやられちゃってるよー。さっすがトシ、30人抜きとは恐れ入ったよ」

慶次が苦笑しながら踏み込むと、利家はがばっと顔を上げ、ニッコリ微笑んだ。

「おぉ、やっと帰ってきたなぁ、慶次!」
「わぁ、まだまだ元気そうだねぇ」
「ああ、愛っていいな、慶次!まだまだ溜まってるから、ずっとお前を待ってたんだよ」
「へえ」

ニヤっと、慶次は黒い笑みを浮かべた。
愛を知り、男に目覚めて以降、何人もの男と交わってきたが、その過程で、なんとか一度利家を犯したいと思っていたところだ。前田家への愛の布教計画を聞かされ、真っ先に伝道師を引き受けたのも、あわよくばこの叔父を犯してやりたいと考えていたからである。

「ビックリするほど淫乱だなぁトシ。いいよ、突っ込んでやるから、ケツ出しな」

着物を脱ぎ、仮性包茎で中型の息子を取り出しながら言ったが、利家は後ろを向くどころか立ち上がり、慶次の方へ歩み寄ってきた。

「ん?なに?早く後ろむ…うわわっ!?」

完全に油断していた慶次は、突然利家に押し倒され、あっさり組み敷かれてしまった。

「ま…まさか……ちょ、じょ、冗談だよなトシ?」
笑ってごまかそうとしたが、もう遅い。

「いくぞ慶次。これが股座のヤリさばきだ!」

利家の巨根は、慶次のたくましくも美しい尻の稜線の合間を、こじあけるようにして進んでいった。

「ひぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!??うそぉっ!?うそでしょっ!?はい、はいって、はいってきてほげえええええええええええ゛~っ!!!」

「すまん、某、手加減は苦手なんだ。ふんっ、ふんっ!某のヤリは!」
「ひぎぃっ」
「早く!」
「おへえっ!」
「鋭く!!」
「あ゛ひいいい!」
「そして重い!!!」
「うびゃああああ゛あ゛っ~!!!」

先ほどの余裕はどこへやら、慶次は先刻の利家同様、白目を剥いて涙鼻水をまき散らし、突き出した舌から涎を飛ばしながらも、歓喜に口を曲げて肛虐の快感をむさぼっていた。

その時、利家の雄叫びと慶次の無様な喘ぎでようやくまつが目覚めた。

「…い、犬千代様…?これは…」
「ああ、まつ、大丈夫か?心配するな。慶次も家臣たちも愛しているが、お前ももちろん、大好きだ!」

甥をズコバコと犯しながら、爽やかに微笑んでくる夫に、まつはどう答えていいかわからなかった。しばらく肉親同士の獣じみた交尾を黙って眺めていたが、やがて笑顔を浮かべながら言った。

「なぜかまつめは、涙が止まりませぬ。されど」
「されど?」
「ほげえっ!ひい、俺のケツまんこ、さけ、さげぢゃうぅぅっ!?くぱあっ、くぱあってアヘェエエエエエッ~!!!!!????」

「やはり犬千代様には、攻め手が似合いまする」

 

 

 

 

「どうデス?あれをご覧なサーイ」
「ま…前田殿…。それにあれは…慶次、なのか…?」

城にほど近い高台。
徳川家康は、数日前に知り合った異国の宣教師に連れられ、加賀の国まで足を延ばしていた。そこで見せられたものは…

「おら、いけ慶次!!」
「へげぇっ!?イグ、いぎましゅ、チンポ牛乳吹いちゃううう!!!」

ブピュッ プシャアアアアアアアアッーー

「あひいいいいいいいっ!?」
「ハハハ、小便の間欠泉か。綺麗だなー、やるじゃないか慶次。なぁ、まつ」
「ええ、本当に。その情けない八の字眉毛と、ぶらぶら垂れ下がった鼻水のつららも、非常に絵になりまする。かすがさんに上げたら、喜んでくれるでしょうか」
「ああ、愛があればみんな幸せだ」

真っ昼間から野外で交尾をする前田利家と慶次、それに、その様子を楽しそうに水墨画に仕立てているまつの姿であった。その周りでは、幾人もの男たちが、所構わず交わっている。

「見ての通りデース。前田家は、姦淫にふけって腐敗しきってマース」
「…前田殿。露出狂の気があるのだろうとは思っていたが、ここまでとは」
「愛は狂気。愛は人を狂ワス。愛など、イラヌ!…あんな連中のために、決断を遅らせることはありまセーン」
「…そのようだな。もはや一刻の猶予もない。早々に三成と決着をつけ、日の本をあるべき姿に戻さねば」

家康が一礼して立ち去ったあとも、宣教師…ザビー教教祖、ザビーは、前田家の乱交を興味深げに眺めていた。

「おらおら、このクソイヌ!さっきはよくもやってくれたな!」

パンパンッ

「キャイィィイイン!!しゅ、しゅびばべん慶次ひゃまぁあああ!!!ワ、ワンワンワオーン!!!」

「チョット吹き込んだだけでこのアリサマ…。人間、淫欲には勝てませんネ。ウフフ、この調子でもっとかき乱して、荒稼ぎさせてもらいマスよ」

こうして、日の本は再び、戦乱の渦にのみ込まれていった。