ハッピーエンド

本当はマゾ

「おい、佐川」「えっ、な、なにかな」昼休み、俺が声をかけると、佐川はいつものように小さな体を震わせた。このビクビクした態度には、毎度イライラさせられる。佐川はクラスに一人はいるような、真面目で大人しく影の薄い、勉強しか能のないような優等生だ…

クリスマス・プレゼント

「メリークリスマース!」電灯を消した部屋でクラッカーを鳴らし、ケーキの上の蝋燭の火を吹き消した。卓の隅に置かれたキャンドルの心もとない灯りが、聖夜のムードを演出している。年に一度のクリスマス、俺はパーティーを開いて盛大に楽しんでいた。……1…

兄と弟2 (後編)

※『兄と弟2(前編)』の続きです。    「おまたせ、光也くん。恭介さん。」フェラが終わり呆然としていた兄弟に、ショウタがニコニコしながら近づく。「ふふ、こうして見ると、やっぱり兄弟だね。光也くんの方…

性剣ファルシオン

「婚約?君とウードがかい?」ヴァルム帝国領内の駐屯地。イーリス聖王国軍の軍師ルフレは、王子クロムの娘、ルキナと向かい合って座っていた。驚いた様子のルフレの声に、ルキナは静かに頷き、出された紅茶に少し口をつけて物憂げに続けた。「ええ、それでそ…

放課後の茶来くん

「自主トレは疲れるなー。すっかり遅くなっちゃたよ」弱小野球部のキャプテン(のようなもの)も楽じゃない。後輩と矢部くんの面倒みてから自分の練習にかかったものだから、すっかり日が暮れてしまった。明日も朝練だから早く帰ろう、と繁華街を歩いていると…

どうしたって叶わない絵空事だろうが

僕の兄さんは、悪魔だ。だからこそ、危険だし監視が必要だからという名目で、無理言って2人部屋にしてもらった。兄の方も露骨に嫌がっていたものの、「祓魔師になりたいなら、少しの不自由くらい我慢しないと」と言えばどうにか納得してくれた。それはいいん…